辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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横須賀の海を見下ろす山小屋風の家

相模湾と東京湾に挟まれた神奈川県横須賀市は、幕末にペリー提督率いる黒船が来航して以来、国際港湾都市として栄えてきました。アメリカ海軍の基地が広がり、セーラー服姿の水兵さんや外国人が行き交うこの街には、異国情緒が溢れています。
今回訪ねるF邸は、東京湾を望む高台に建つ築45年のお宅です。こちらにお住まいのFさんご夫妻は、横浜市内にお二人で建築事務所を開いています。以前は 事務所の近くにお住まいでしたが、自然に触れて暮らしたかったという奥様の希望もあり、この家を購入しました。入り組んだ路地の先にあるため、近くまで車 で行くこともできず、またビル5階分ほどの階段を上らなければならない立地だったため、相場よりもかなり安く手に入れることができたそうです。初めてこの 家を見て、「小屋みたいだと感じた」とおっしゃるご主人。ご自身が家に対して抱いたイメージを設計に取り入れ、抜群の眺望を楽しめる家へとリモデルするこ とにしました。
白く塗られた杉板と、眼下に広がる青い海のコントラストが印象的なF邸。玄関を入ると、美しい曲線を描いた壁が目に飛び込みます。この壁の中は和室になっ ており、畳に座った時、窓枠に切り取られた横須賀の海が綺麗に見えるよう畳の高さが調整されています。また、和室の壁の一部には、山側にあるリビングから も海の景色を楽しめるよう開口部を設けました。また、リビングにあったサッシは取り払い、大きな固定窓に変え、路地裏の階段と庭の木がまるで額縁に飾られ たように美しく見えるようにしました。座って過ごすことの多いリビングの天井はあえて低くすることで、空間に広がりを感じられるようになっています。さら に、天井を低くしたリビングの上には、小屋裏も作りました。小屋裏へと続く階段は跳ね上げ式にし、階段をあげている時は、踏み板がトップライトからの光を 遮るルーバーの役割も果たしています。
こちらに越してきてから、東京湾の向こうから昇る朝日とともに目覚めることが増えたというFさんご夫妻。太陽の光を全身に浴び、自然と同じリズムで生活することで、心身ともにますます充実した生活を送られているようでした。

設計担当:フクダアーキテクツ
http://fukuda-archi.com/