辰巳琢郎の家物語 リモデル★きらり
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母を見守る二世帯の家

今回辰巳琢郎が訪ねたのは、京王線沿線の静かな住宅地、世田谷区烏山。
築30年の鉄筋コンクリート住宅です。
この家を建てたのは、施主Kさんの亡き父上。声優として活躍されたお父様を 2年前に亡くされて、一人残ったお母様を気遣って二世帯住宅へのリモデルを決心しました。二世帯とはいえ、自分自身の時間も大切にしたいとのお母様の考えを尊重し、玄関は共同ですが、それぞれの居住スペースは完全に分離されています。
1Fは母の居住スペース、2FはKさん息子さん世帯の居住スペースになりました。Kさんは奥様と2人のお子さんの4人家族です。
リモデルにあたって、お母様のリクエストは、お父様の思い出を残しつつ、段差などがあって動き辛く、冬、寒かった家を暮らし易くしたいとのことでした。リ モデルで全体をバリアフリーにし、広すぎたリビングの一角に新たに母の寝室を設けました。出窓には特殊加工を施したクロスの障子を付けることによって断熱 効果が生まれ冬でも暖かい部屋になりました。また床には温水暖房を付けたので、暖かく快適な生活が出来るようになりました。かつてのリビングで使われてい た重厚なマホガニーのドアは、お母様スペースへ続く内なる玄関扉に転用。中2階にある、かつてお父様が愛したオーディオルームは、現在はKさんの仕事部屋 に変身しました。また担当した建築家のアイデアで、キッチン横のバルコニー・スペースには家族が集まるファミリールームが設けられました。座面のカーブを 建築家が計算し、人が心地よく座れる曲線のベンチが導入されました。ほとんどが広い部屋ばかりの中で、茶室のように互いが身近に感じられるこじんまりとし た空間が心地よいと評判です。可愛い孫の声を聞きながら、趣味の俳句を詠んでいる時がとても幸せというお母様。傍らで、そんなお母様を見守る小林さん一家 の姿がとても微笑ましく印象的なリモデルでした。

手嶋保建築事務所
http://www007.upp.so-net.ne.jp/teshima/