建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧日本郵船株式会社 小樽支店

郵便汽船三菱会社は明治11年(1878)に小樽に出張所を設け、明治18年(1885)に共同運輸会社と合併し、日本郵船小樽支店が誕生した。明治37年(1904)の大火で木造社屋が焼けたため、現在の社屋を明治39年(1906)に建築。設計は、辰野金吾らと同じ工部大学校造家学科一期生の「佐立七次郎(さたちしちじろう)」。石造2階建のルネサンス様式の重厚な建築。外壁は厚さ約75cmの小樽天狗山産軟石、腰・胴蛇腹・軒部分は登別産中軟石を使用。1階は客溜まりからカウンター越しに営業室が広がり、天井は格天井。窓はガラスの二重窓、隙間風止めを回りに入れている。2階の貴賓室と会議室の壁は、金唐革紙が貼られ、貴賓室は菊を基調に蝶とトンボをあしらい、会議室は緑地にアカンサスの浮き出し。この会議室で竣工後間もなく、明治38年(1905)に終結した日露戦争のポーツマス条約に基づく日露の樺太国境画定会議が行われた。昭和30年(1955)、市に譲渡された。