建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧青山家住宅

この住宅は、遊佐町青塚の貧しい漁家に生まれた青山留吉(天保7年1836 - 明治41年 1908)が、北海道の漁業で功を成し、その財で故郷に建てた邸宅である。留吉は24歳の時に単身北海道に渡り、現在の小樽市祝津で雇漁夫として働き、1年後に小規模ながら独立し、明治期の積丹半島を中心に漁場を拡大、道内有数の漁業家に成長した。明治20年(1887)に故郷に屋敷の建設を企画し明治23年(1890)竣工した。日本海に面する庄内砂丘にほど近い集落の中央に位置し、敷地北面寄りに南面して建つ。母屋は間口12間、奥行7間、主要8室によりなり、茶の間→中の間→下座敷→上座敷と続く構成は、庄内地方によく見られるもの。良材をふんだんに使った贅沢な建物である。小座敷は明治29年(1896)の竣工。明治41年(1908)留吉73歳の時に隠居、晩年はこの屋敷や酒田で過ごした。明治中期の当地の和風建築を代表する遺構として貴重である。