建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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旧徳川家松戸戸定邸

幕府最後の将軍・徳川慶喜の弟、水戸徳川家最後の藩主、第11代・徳川昭武が後半生を過ごした住宅。徳川慶喜をはじめ徳川一門や大正天皇も皇太子時代に訪れるなど、華族の交流の場としても使われた。昭和26年(1951)に松戸市に寄贈。南にある表座敷棟を起点として、各棟が連続もしくは渡り廊下で結ばれている。部屋数は20以上。表向きの表座敷棟を始め、各座敷棟、玄関棟から内向きの施設まで全体がほぼ完存している。意図的に装飾を抑え、最高級の杉の柾目材をふんだんに使った戸定邸は、質実剛健の水戸徳川家の遺風を今に伝えている。洋風を意識した庭園を築きながら、建物は基本的に伝統的な形式を用いており、明治前期における旧大名家住宅の遺構として歴史的価値が高い。