建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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片倉館

製糸業界トップで全国に知られた片倉製糸紡績(現・片倉工業)の2代目社長・片倉兼太郎が、社員や地域住民の福利厚生や交流の為に、創業50周年記念事業として建設した。設計は、東京帝国大学で辰野金吾に学んだ森山松之助。浴場棟は鉄筋コンクリート2階建、会館棟は木造2階建。浴場と会館共に、急勾配の切り妻屋根とタイル貼りの外壁、要所に小塔をたてた変化に富んだ外観。浴場の内部は、男女とも大きさは同じで大浴室を中心にステンドグラス、彫像等を施した。また、会館の内部は150畳敷きの大広間を中心に伝統的な和風のつくりとなっている。片倉は海外視察旅行で訪れた(当時)チェコスリバキアのカルルスバードにあった厚生施設に強い関心を抱いていた。実業家の手による最初期の公共福利施設として、高い歴史的価値を有している。