建物遺産~重要文化財を訪ねて~

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 旧近衛師団司令部庁舎

旧近衛師団司令部庁舎

近衛師団司令部庁舎として明治43年(1910)竣工した。設計は当時の陸軍技師・田村鎭(やすし)。煉瓦造2階建、正面玄関部に小さな八角形の塔屋をのせた簡素なゴシック様式の建物。明治時代の洋風煉瓦造建物として日本人技術者が設計した現存する数少ない遺構として重要。関東大震災、戦争による損傷も免れ、昭和47年(1972)外壁、玄関、階段ホールが指定された。
この建物は、昭和20年(1945)終戦を阻止しようとする一部の陸軍省幕僚と近衛師団参謀らによる「宮城事件」の舞台のひとつ。戦争継続派は近衛第一師団長・森赳(もりたけし)中将を庁舎内で殺害。師団長命令を偽造し近衛師団を出動させ、宮城(皇居)を占拠した。