映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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四十候「綿のはなしべ開く」(わたの はなしべひらく)
四十一候「天地始めてさむし」(てんち はじめてさむし)

二十四節気の暦は処暑!

「綿のはなしべ開く(わたの はなしべひらく)」
はなしべとは花の萼(がく)の事で、綿を包む萼が開き始める頃を表わしています。
「天地始めてさむし(てんち はじめてさむし)」
暑さがようやく止み、涼しさを感じられる頃を表しています。今回の候は、綿花、納涼、冷奴、泥鰌、三河一色大提灯まつりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

この時期、綿には黄色の花「綿花」が咲き、実がつきます。その実はやがてはじけ、中から綿毛と呼ばれる、繊維の密集した部分が姿を表わします。この繊維状になっている部分を集め加工する事で「木綿」が作られるのです。木綿は丈夫で伸びにくく、肌触りも良い為、上質な衣類の材料としても知られています。

京都の鴨川では、この時期「納涼床(ゆか)」が風物詩とされています。納涼床とは、料理店や茶屋が川の上などに座敷を作り、料理を提供する場所の事。川の上の為、他の場所よりも3℃から5℃ほど気温が低くなり、川のせせらぎからも、涼しさを感じ取ることが出来ます。納涼床で、見た目の美しい京料理やそうめん等を食べれば、暑さも吹き飛んでしまうでしょうね。

暑い日に「冷奴」はいかがでしょうか。冷奴という名前は、「奴」と呼ばれる、武士に仕えていた人々が着る上着「半纏(はんてん)」の模様が、冷奴の様に四角い模様であった事に由来しているそうです。ここから、食材を大きく四角に切る事を「奴に切る」と言い始め、やがてこのシンプルな豆腐料理を、冷奴と呼ぶようになったそうです。

この時期、こちらの「泥鰌(どじょう)」が旬を迎えます。古くから滋養強壮に効果のある食材として知られてきました。「鰻一匹、泥鰌一匹」この言葉は、そんな小さい体の泥鰌1匹の栄養が、泥鰌より何倍も大きい体を持つ鰻1匹分に匹敵するという事を表現した言い習わしです。「泥鰌」という名前は、水田や沼地など、泥の中で生息する性質から、泥の中から生まれる「土生(どじゃう)」と呼ばれるようになり、それが「どじょう」に転じたとされています。

愛知県西尾市一色町では、毎年8月26・27日に「三河一色大提灯まつり」が行われます。その名の通り、和紙で作られた巨大な大提灯が、訪れた人々の目を圧倒します。その昔、田畑を荒らす海の魔物を退治する為、大きな篝火を焚いて祈願したところ、それ以降、魔物が出なくなったという伝説が元になっており、その大篝火の代わりに、提灯に火を灯すようになったのが始まりだそうです。大きいもので、なんと直径5メートル、長さ10メートルにもなるそうです。