映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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三十九候「深き霧まとう」(ふかききり まとう)

二十四節気の暦は立秋!

「深き霧まとう(ふかききり まとう)」
まとわりつくような、濃い霧が立ち込める頃を表した候です。今回の候は、霧、撫子、鱸、百舌、しものせき馬関まつりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

この時期の早朝、前日に雨が降り、空気が湿り気を含んでいる時には、山などで霧が立っているのを目にします。霧は、とても小さな水滴が大気中に浮遊し、見通す事の出来る距離が短くなる現象の事です。見渡せる距離が1キロメートル未満だと「霧」、1キロメートル以上10キロメートル未満だと「靄(もや)」となります。

この時期にピンク色で小さく可憐な花を咲かせるのが、「撫子」です。花びらに、細かい切れ込みが入っているのが特徴で、優しげで柔らかい印象がありますね。撫子という名前は「撫でてあげたいほど可愛らしい子供」の事を、「撫でし子」と表現していた事に由来し、この花も、小さく可愛らしい子供の様である事から、名付けられたとされています。

「冬の鮃(ひらめ)、春の真鯛、夏の鱸(すずき)」。これは、冬から夏にかけての美味しい白身魚を並べた慣用句です。夏の白身魚の代表「鱸」が、食べ頃を迎えています。身が白く、まるで水で「すすいだ」ようなので、「すずき」と呼ばれるようになったという説もあります。そんな鱸を美味しく食べたいのなら、「洗い」がおすすめです。この「洗い」という方法によって、余分な脂肪分が落ち、大変美味しくなるそうです。

こちらの鳥は「百舌」です。この時期になると、甲高い声を聴かせてくれます。この鳴き声は「百舌の高鳴き」と呼ばれ、自分のなわばりに接近してきた侵入者に対する威嚇なんだそうです。また百舌は、求愛の為に四十雀(しじゅうから)や雲雀(ひばり)、目白といった様々な鳥の声を真似したりします。この事から、まるでたくさんの舌を持っているようだという事で「百」の「舌」という漢字があてられたそうです。

山口県下関市では、例年8月下旬に「しものせき馬関(ばかん)まつり」が行われます。「馬関」とは、下関市の昔の名前。当初「赤間関市(あかまがせきし)」という名前で「赤間」の「間」の字が「馬」の字に代わり「赤馬関(あかばかん)」となり「馬関」となったといいます。この祭りでは、戦いに敗れた、平家一門の供養の為に始められた踊り「平家踊り」を、数千人を超える踊り手が踊ります。平家踊りは、軽快な曲調を刻む三味線と、太鼓の勇壮な演奏に合わせて、踊るのが特徴です。