映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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三十六候「大雨時々に降る」(だいう ときどきにふる)
三十七候「涼風至る」(すずかぜ いたる)

二十四節気の暦は大暑から立秋!

「大雨時々に降る(だいう ときどきにふる)」
青空が突然のどしゃ降りに、そんな不意に降り始める大雨を表した候です。
「涼風至る(すずかぜ いたる)」
顔を背けたくなるような熱風も収まり、涼しい風が吹き始める頃を表した候です。今回の候では、夕立、薊(あざみ)、海胆(うに)、鴫(しぎ)、山形花笠まつりなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

うだるような暑さの中、突然バケツをひっくり返したような「夕立」が降り注いできます。時には大きな雷も鳴り響き、一層激しさを増すばかりです。この夕立という言葉の語源には、諸説あるようですが、雷を伴う急な雨の事を「彌降り立つ雨(いやふりたつあめ)」と呼び、それが「やふたつ」となり、「ゆうだち」と転じていったという説があります。また、こうした雨は「夕立」以外にも「驟雨(しゅうう)」と呼んだり、集まって「群れる雨」つまり「村雨(むらさめ)」と呼んだりもします。

こうした雨によって潤い、成長する夏の草花。この時期は「薊(あざみ)」が咲き頃を迎えます。鮮烈な紫色や赤色をしており、まるで針山のように、細い管が突き出し、非常に神秘的で美しい形をしています。また葉には、刺が多く、うかつに触ると、この刺が刺さるので注意が必要です。そんな刺の多さが、驚き呆れるほどであった事から、「驚き呆れる」を意味する「あざむ」が転じて、「あざみ」になったとも言われています。

こちらは「海胆(うに)」です。産卵期を迎えるこの時期が食べ頃で、産卵期を過ぎると味が落ちるそうで、「海胆の食べ頃はお盆まで」とも言われています。ちなみに「雲丹」と書くこちらも「うに」と読みます。その違いは生の生きている「うに」には、こちらの「海胆」。そして、加工されたものは、こちらの「雲丹」があてられるそうです。

こちらの鳥は「鴫(しぎ)」です。尾は短く、褐色と灰色で長い嘴が特徴です。「田」に「鳥」と書くのは、田んぼ等の水辺に飛来する事に由来しています。 二つのものが争っている間に、別の第三者が利益を得る事の例えである「漁夫の利」。これは、蛤を捕らえようとした鴫が、蛤の貝に嘴を挟まれ、両者身動きが取れなくなった所に、漁夫がやってきて、その両方を獲得するという、「鴫蛤(いっぽう)の争い」が、元となったことわざです

山形県山形市では、例年8月5日から7日の三日間かけて、「山形花笠まつり」が行われます。青森の「青森ねぶた祭」、秋田の「秋田竿燈(かんとう)まつり」、宮城の「仙台七夕まつり」と共に、「東北四大祭り」の一つにも数えられています。威勢のいい掛け声と太鼓の勇壮な音色。そして、華やかに彩られた山車を先頭に、色とりどりの衣装と、紅花などをあしらった花笠を持った、一万人を超える踊り手が「花笠音頭」を踊りながら、山形市内を練り歩きます。この「ハァ ヤッショーマカショ」という合いの手は、山形県尾花沢市(おばなざわし)にある徳良湖(とくらこ)という人工の湖を作る際、調子合わせに歌われた作業歌が元になっており、「やってみよう、まかせておけ」という説があります。