映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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三十五候「土潤いてむし暑し」(つちうるおいて むしあつし)

二十四節気の暦は大暑!

「土潤いてむし暑し(つちうるおいて むしあつし)」
今回の候は、土が湿り気を帯び、蒸し暑さが増す時期を表した候です。土が強い日光を受け、熱を発する事を指して「土熱れ(つちいきれ)」と呼びます。この「熱れ」とは、蒸されるような熱気を意味し、まさに、この時期の蒸し暑さを体現している言葉といえます。今回の候は、夏休み、虹鱒、向日葵、かぶと虫、青森ねぶた祭など、この季節の話題を楽しくお送りします。

この時期、子供達は「夏休み」の真っ最中です。そもそも夏休みとは、日本の伝統的な風習「薮入り」が元になっています。薮入りとは、商家などに住み込みで奉公していた少年少女が、実家へと帰る事のできた休日の事です。実家では、両親と親子水入らずでの休日を楽しんだといいます。さて、夏休みの朝の定番といえば、「ラジオ体操」ですね。母親に急かされ、眠い目をこすって参加したのも懐かしい思い出です。

この時期、川では、「鱒(ます)」等が釣りの対象となります。鱒は、味が他の魚より勝っている為、「勝る(まさる)」が転じて「ます」となった、と言われるほど味が良い魚です。さて、そんな虹鱒を釣り上げたら、川辺で塩焼きにしてそのまま食べるが一番でしょう。りふり構わず、思いっきりかぶりつきたいですね。

夏を代表する花といえば、「ひまわり」です。太陽を彷彿とさせる黄色の花が特徴ですね。「ひまわり」という名前は、太陽の動きに従って、その方向を追うように花が回る事から付けられたそうです。また、漢字で書くと「向日葵」になります。なぜ「葵」という漢字が使われているのかという事には、諸説ありますが、向日葵の葉の形が葵に似ているからといった説が一般的なようです。また、他にも「日輪草(にちりんそう)」という別名もあり、こちらも太陽に由来した名前となっています。

さて、夏休みの楽しみといえば「虫取り」も外せません。子供達が、虫取り網と虫籠を持って野山を駆け巡る様子は、今となっては古き良き風景と言えるのかも知れません。さて、いつの時代でも、昆虫採集で人気の虫といえば、昆虫の王様「かぶと虫」です。黒々とした体と大きな角が勇ましいですね。この頭から大きく突き出した角が、兜に見える事から、かぶと虫と名付けられました。

青森市では、毎年8月2日から7日まで、「青森ねぶた祭」が行われます。毎年300万人以上の観光客が訪れる、華やかな祭りです。ねぶたは、東北地方で行われる七夕行事で、木の枝や藁で作った人形などを川に流し、秋の収穫期を前に、労働を妨げる睡魔をはらう為に行われた「眠り流し」が由来となっているそうです。ねぶたという名前も、「眠(ねぶ)たし」から「ねぶた」となったとされています。