映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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二十一候「竹のこ生ず」(たけのこ しょうず)
二十二候「蚕起きて桑を食む」(かいこおきて くわをはむ)

二十四節気の暦は立夏から小満!

「竹のこ生ず(たけのこ しょうず)」
土から、筍がひょっこりと顔を出す様子を表した候です。
「蚕起きて桑を食む(かいこおきて くわをはむ)」
蚕が桑の葉を盛んに食べ、繭を出し始める頃を表した侯です。今回の候は、筍、霞草、桑、キス、鶴岡天神祭など、この季節の話題を楽しくお送りします。

筍(たけのこ)は非常に成長が速く、地中から顔を出して10日目を過ぎる頃には、1日で1メートルも成長するそうです。その成長の速さが、この「筍」という漢字の由来だとも言われています。筍にある「旬」という文字は、時間の単位で10日間を意味し、読みも「じゅん」となります。ひと月を3つに分けた、上旬、中旬、下旬も、10日ごとの区切りになっていますね。筍は、10日間という短い期間で竹へと成長する事から、竹かんむりに旬(じゅん)となったとされています。

さて、この頃の花に霞草(かすみそう)があります。今の時期に、小さく白い花を咲かせます。一般的には、白い花が知られていますが、他にも、淡いピンク色も人気が高いようです。細かく分かれた枝先にいくつもの白い花をつけるのが特徴で、その様子が、まるで霞がかかっているようだという事から、霞草と呼ばれるようになったそうです。

こちらの植物は「桑」です。葉は薄く、艶があり、黄緑色をしています。桑を生産する桑畑は、日本では、古くからよく見かける光景でした。その為、桑畑は地図記号としても登場します。この形は、桑の木を横から見た形をモチーフにしているそうです。かつては、蚕の餌としてしか捉えられていなかった、この桑の葉ですが、近年、様々な栄養素が入っていると注目されるようになり、「桑茶」という健康茶として飲まれる事もあるようです。

天ぷらに欠かせない魚「キス」です。今は産卵を控え、体に栄養を蓄えているので、大変美味しくなります。そのため、この時期の釣りの対象としても人気が高い魚です。岸に近い場所に生息している事から、「キシ・岸」が転じて、「キス」という名前になったともいわれ、漢字の「魚」偏に「喜」ぶという字には、味が良く人気な事から、「釣れると喜ばしい魚」という意味で「喜」という字が当てられたという説もあるそうです。

山形県鶴岡市の鶴岡天満宮では、5月25日に鶴岡天神祭が行われます。学問の神様「菅原道真」を祀るお祭りです。平安京の右大臣であった道真が、九州の大宰府へ左遷された際、身の周りを警護する為に、家来たちが変装してついて行き、道真の身を守ったのだそうです。この祭りは、鶴岡の人々がその言い伝えを真似て、変装する事で、道真を偲んだのが始まりとされています。顔を隠している為に誰だがわからないということで、「化けものまつり」と呼ばれるようになったといいます。