映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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十七候「霜止で苗出ずる(しもやんで なえいずる)」
十八候「牡丹はなさく(ぼたん はなさく)」

二十四節気の暦は穀雨!

「霜止で苗出ずる(しもやんで なえいずる)」
霜が降りる頃も過ぎ、稲が成長する様を表しています。
「牡丹はなさく(ぼたん はなさく)」
こちらは、牡丹が美しく大きな花を咲かせる時期のことを表しています。今回の候は、お茶、八十八夜、牡丹、鯉のぼり、菖蒲湯など、この季節の話題を楽しくお送りします。

そろそろ新茶が出回る頃になってきます。お茶の新芽には、前の年の秋から冬にかけて蓄えられた栄養がたくさん含まれています。そのため、香りが失われないうちに作られた「一番茶」は美味しく、それ以降の二番茶などよりも、旨み成分を豊富に含んでいるそうです。

「八十八夜」とは、立春から数えて88日目の事を指し、春から夏に移る節目の日とされています。「八十八」という字は、組み合わせると「米」という字になることから、この日は、農業を行う人々にとっては特別で重要な日とされてきたそうです。また、古くから「八十八夜の別れ霜」などとも言われ、八十八夜を超えると霜が降りなくなり安定した気候になると考えられてきました。

「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」
美しい女性の姿形や立ち居振る舞いなどを花に例えたこの言葉にも、芍薬、百合と共に登場するのが、「牡丹」です。牡丹は、その美しさから「百花王」などの別名があり、花言葉も「王者の風格」と、まさに美の象徴。四字熟語の「天香国色」は、この世のものとは思えないほどの美しさの事で、この熟語も、牡丹の異名です。

「鯉は、中国・黄河の『竜門の滝』を登ると、竜となって天をかける」そんな中国の故事から生まれ、立身出世の象徴となった言葉「登竜門」や「鯉の滝登り」。その言葉を元に、江戸時代の庶民によって考案されたのが、この「鯉のぼり」です。落語などでも、「江戸っ子は五月(さつき)の鯉の吹流し」という言葉がよく聞かれますが、これは江戸っ子が、口先は荒いが腹の中はさっぱりしている事から、鯉のぼりの形に例えられたものです。

端午の節句の風習といえば、「菖蒲湯」ですよね。「菖蒲」は、古くから邪気を避け魔物を祓う薬草と考えられており、端午の節句には、よもぎと共に軒にさしたり、風呂に菖蒲の根や葉を入れて沸かした「菖蒲湯」につかる風習がありました。これには、春から夏への季節の変わり目で体調を崩さないようにする目的もあったそうです。