映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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十一候「桜始めて開く(さくら はじめてひらく)」

二十四節気の暦は春分!

「桜始めて開く(さくら はじめてひらく)」
いよいよ、桜が咲く頃となってきました。この候は、まさにそんな様子を表したものです。今回の候では、いよいよ咲き頃を迎える桜を中心に、この季節の話題を楽しくお送りします。

日本全国に分布する桜の代表的品種といえば「染井吉野(ソメイヨシノ)」です。明治の中頃から日本の各地で急激に植えられた種類で、日本では一番知られている桜の種類ではないでしょうか。観賞用として作り出され、全て人間の手による接木(つぎき)などによって増やされたそうです。つまり、すべての染井吉野は、元をたどれば数本の原木から生まれたものなのです。

桜といえば、このうたですね
♪「さくらさくら」
さくら さくら
やよいの空は 見わたす限り
かすみか雲か 匂いぞ出ずる
いざや いざや 見にゆかん

桜といえば「花見」ですね。桜の花を観賞するのは日本独特の風習だそうです。また、花見といえば落語の演目「長屋の花見」が有名ですね。お話はこうです・・・貧乏長屋の面々が、花見と洒落込んでやって来たのは良いが、持参した弁当は卵焼きに蒲鉾、それに酒である。ところがこの卵焼きは黄色の沢庵、蒲鉾は白い大根、お酒は番茶を水で薄めたもの・・・。何度聞いても笑ってしまいます。

桜の季節に食べたいもの、それは桜餅ではないでしょうか。大きく分けると関東風と関西風があります。関東で広く親しまれているのが、一般的に「長命寺(ちょうめいじ)」と呼ばれている桜餅。 一方、関西を中心に親しまれているのが、「道明寺(どうみょうじ)」という桜餅。「道明寺粉」とよばれるもち米を蒸した皮が特徴です。皆さんはどちらがお好みですか?

色合いや様子が似ている事から、桜の名がつけられたものも多くあります。コスモスは、秋に桜に似た花を咲かせることから「秋の桜」、馬の肉は、ほんのりと桜色であることから「桜肉」と呼ばれていたり…。そして、この「桜えび」は、桜色の体と、桜の咲く時期に多く獲られるために、この名が付いたとも言われています。明治時代に、アジの網引き漁をしていた駿河湾の漁師たちが、誤って網を深く潜らせてしまい、その時偶然に大量の桜えびが捕れた事が、桜えび漁の始まりとされています。