映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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五候「霞始めてたなびく(かすみ はじめてたなびく)」

二十四節気の暦は雨水!

「霞始めてたなびく(かすみ はじめてたなびく)」
霞は、霧や靄(もや)の事で、遠くの景色がぼやけている現象をさしています。そんな霞がたなびいている、つまり霧や霞が、横長に薄く漂っている様子を表した候です。今回の候では、霞やじゃがいも、雛祭り、野焼きなど、この季節の話題を楽しくお送りします。

霞と霧。この2つの違いは一体なんなのでしょう。 実は、ほとんど同じ現象なのです。古くから人々は、春のものは「霞」、秋のものは「霧」と発生する時期によって呼び名を変え区別していたのです。また、春に見られる霞は「春霞(はるがすみ)」として、秋の霧「秋霧(あきぎり)」と共に、平安時代からの風物として様々な和歌に歌われてきました。

「春霞 たなびきにけり 
    久方の 月の桂も 花や咲くらむ」
こちらは、後撰和歌集に収録された紀貫之による和歌です。「春の霞が空にたなびいている。月に生えているという桂の花も、今頃花を咲かせているのだろう」美しく幻想的な歌ですね。月を背景にたなびく霞が、月に咲いた桂の花を連想させたのかも知れませんね。およそ1000年前の歌ですが、見上げる空は今も同じ。

この時期になると、ジャガイモが旬を迎えます。 その年に初めて取れた新ジャガイモは、貯蔵されずにすぐに出荷されるため、皮が薄くみずみずしいのが特徴です。皮を剥かずにこそげて、煮っ転がしにするとおいしいですよね!ジャガイモは江戸時代にインドネシアの首都ジャカルタ、当時の「ジャガタラ」から伝わったとされ、名前もジャガタラから来た芋で「ジャガタラ芋」という呼び名が、次第に省略されて出来た名前だとされています。

旧暦の3月3日は、3月上旬の「巳の日」のことを指す「上巳(じょうし)の節句」であり、桃の花が咲く季節であることから、「桃の節句」とも呼ばれてきました。この節句に行われる行事といえば「雛祭り」ですね。起源についてははっきりとしませんが、平安時代の京都では、すでに貴族の女子の遊びごととして、人形を飾っていたようです。

野山の植物を焼く「野焼き」は農業準備の一つです。 山は、放っておくと草原から森林へと変化していきます。そうなる前に野焼きを行い、この変化を止め、草原のままに保つ事ができるのです。 また、野焼きによって害虫を駆除する効果もあるとされ、焼き払われた植物は新しい若草の肥料にもなるそうです。野焼きといえば、熊本県阿蘇山で行われる「阿蘇の野焼き」、奈良県の「若草山の山焼き」が有名ですね。