映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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七十一候「水沢氷つめる」(さわみず こおりつめる)
七十二候「鶏始めてとやにつく」(にわとり はじめてとやにつく)

二十四節気の暦は大寒!

「水沢氷つめる(さわみず こおりつめる)」
沢を流れている水も寒さに凍る、という意味です。「鶏始めてとやにつく(にわとり はじめてとやにつく)」
春の訪れを敏感に感じとったニワトリが、卵を産むため、巣や鳥小屋に籠もるという意味です。今回の候では、ワカザギ、水菜、二日灸、節分、春隣など、この季節の話題を楽しくお送りします。

寒さの厳しい地域では、凍りついた湖に穴をあけ、魚を釣り上げる「穴釣り」が行われます。穴釣りの魚の代表と言えば、ワカサギですね。漢字で書くと「公魚」となります。公と付くのは、江戸時代ある藩主が、毎年将軍家へ年賀に参上する際、串焼きにしたワカサギを献上していた事に由来し、将軍家御用達の魚という意味の「御公儀(ごこうぎ)の魚」からきているそうです。

シャキシャキした食感で寒い冬が旬の野菜、水菜。
古くから京都を中心に関西で栽培されてきたので、「京菜」とも呼ばれ、京都の伝統野菜の一つでもあります。寒さに比較的強い性質から、野菜が不足しがちな冬場に収穫でき、関西では古くから親しまれてきました。京都、大阪では、「はりはり鍋」には欠かせない野菜でもあります。はりはり鍋は、鯨の肉と水菜の鍋で、「はりはり」は、水菜の食感を表した言葉だそうです。最近は、豚肉を入れて「はりはり風鍋」として食べたりもしますね。

2月2日にお灸をすると、お灸の効果が高くなるという言い習わしがあります。これは、「二日灸(ふつかきゅう)」と呼ばれる行事で、もともとは旧暦の2月2日に行われてきたものです。元々中国に伝わる、子供のおでこに十字の印を書いて無病息災を願ったおまじない「天灸」から来ているという説があります。日本の二日灸も、かつては、この日にお灸をすれば、災難に遭わずに元気に過ごせるという縁起を担いだおまじないだったようです。

2月3日は、節分ですね。「節分」とは「せち分かれ」とも言い、本来は季節の変わり目、すなわち立春・立夏・立秋・立冬の前日を指す言葉です。現在では、立春の前日2月3日が「節分」として残り、豆まきをして、鬼・邪気を払う行事となりました。豆は、「魔滅(まめ)」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、邪気を追い払い、一年の無病息災を願うという意味があります。

かつて人々は、冬の日々の経過を、「春がどこまで来ているか」という基準で表現していました。
遠くの春を待ちわびる、まだまだ寒い冬の時期を、「春待つ」。時間が経過し、だんだんと春が身近に迫ってきたと感じる頃を、「春近し」。さらに春に近付き、春がもうすぐそこまで来たと感じる頃を「春隣(はるどなり)」と呼び、春への時間的な距離で、寒い冬を前向きな発想でとらえ、過ごしていたのです。