映像歳時記 ~七十二候・旧暦が奏でる日本の美
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七十候「蕗の華さく」(ふきのはな さく)

二十四節気の暦は大寒!

大寒は、次の暦「立春」までの期間でまさに冬の最後。寒さが猛威を奮います。
実は、その年の最低気温が観測されるのも、この頃が一番多く、日本の最低気温の記録が観測されたのも大寒でした。
今回の候では、ふき、小松菜、納豆汁、布団、亀戸天神うそ替え神事など、この季節の話題を楽しくお送りします。

ふきは、冬になると黄色い花を咲かせ、春が近づいている事を告げます。この「冬に咲く黄色の花」から、「冬黄(ふゆき)」が転じて「ふき」になったという説もあります。ふきの茎は、繊維質やミネラルが豊富で、昔は冬の野菜不足を補う大事な山菜でもありました。醤油と砂糖で佃煮にした「伽羅蕗(きゃらぶき)」は有名ですね。

寒い冬に採れる野菜なので、冬菜、雪菜とも呼ばれている野菜をご存知でしょうか。それは、小松菜です。もともと東京・江戸川区の小松川一帯で生産されており、江戸時代、将軍に献上する際に土地の名前を付けたのが、名前の由来だといわれています。
ちなみに、現在でも小松菜の生産量1位は、江戸川区なのだそうですよ。

「入道の よよとまゐりぬ 納豆汁」
与謝蕪村によるこちらの俳句。入道、つまり、尊敬されるような身分の高いお坊さんが、よだれを垂らしつつ、納豆汁を一気に食べてしまった様子を詠んだものです。納豆汁の美味しさが伝わってくる、よだれの出そうな句ですね。この納豆汁という言葉は、冬の季語になっています。もともと、寒い時期の野菜不足を納豆で補ったともいわれ、
納豆汁は、東北などでは広く親しまれていました。

もともと布団とは、禅僧が座禅のときに用いる「蒲(がま)の葉」で編んだ円い敷物でした。この「蒲」と、丸を意味する「団」を使い、「ふとん」と読んだのです。江戸時代以降になると、寝具の「ふとん」と敷物の「ふとん」が区別されるようになり、寝具は「蒲団」、敷物は「座蒲団」となり、「蒲」という字も、「布」に替わり、現在の「布団」、「座布団」になったといわれています。

1月24日から25日は、東京・江東区の亀戸天神にて、亀戸天神うそ替え神事が行われます。幸運を招くとされる鳥「うそ」をかたどった檜の可愛らしい像を、昨年手に入れた物から、今年作られた新品に替える行事です。毎年新しいうそ鳥に替える事で、これまでの悪い事が「うそ」になり、一年の吉兆を招き幸運を得る事ができるとされています。