新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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光の稲穂 竿燈まつり
~短くも熱い 秋田の夏~

秋田県の中部、日本海沿岸に位置する県都・秋田市は、県の人口の約3割が集まる政治経済の中心地。広大な平地と、周りを囲む山々からの雪解け水に恵まれ、古くから米どころとして知られます。古くは江戸時代、関ヶ原の戦いの後に国替えとなった佐竹義宣が久保田城を築き、城下町が形成されたのが秋田市の始まりといわれます。
秋田に夏の訪れを知らせる「秋田竿燈まつり」は、毎年8月3日から6日に行われます。国の重要無形民俗文化財に指定された、青森ねぶた祭、仙台七夕まつりと並ぶ東北三大祭りです。
260年以上の歴史があり、佐竹の殿様が統治していた頃に始められたと伝わります。元々はお盆などで家々の門前に掲げられた高燈籠から始まり、「ねぶり流し」の無病息災、家内安全祈願に加えて、提灯が稲穂や俵に似ていることから豊作祈願の意味を持つようになったと考えられています。それが今や参加74団体、270本以上の竿燈、提灯総数およそ1万個という壮大な祭りになり、祭り期間中には国内外から120万を超える観光客が訪れます。
竿燈まつりの見どころは、稲穂に見立てた竿燈の列が夜空に揺れる幻想的な光景。一方、昼間には大きな竿燈を自在に操る「差し手」たちの技と誇りがぶつかり合う妙技会が行われています。竿燈を高く上げることに魅せられ、前人未到の「10本継ぎ竹」への挑戦する熱い男に密着します。
旅人は俳優・中本賢。夏風に揺れる青々と育った稲穂、田んぼのあぜで秋田ご自慢の塩にぎりをぱくり。そして「お米」由来の日本酒。歴史ある酒蔵では、この時期しか味わえない美味しい日本酒に出合います。秋田の台所といわれる秋田市民市場でも、秋田の旬に舌鼓。東は奥羽山脈、西は日本海という環境に恵まれ、海に山に美味しい秋田の食材が揃います。
竿燈まつりが終われば秋田は早くも秋の香り、農家は秋の収穫の準備を始めます。秋田の短くも熱く燃える夏を旅します。