新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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直虎のふるさと 浜松・奥浜名湖
~女城主の戦国ロマンを巡る~

静岡県浜松市、浜名湖北側に広がる奥浜名湖地域。「遠州の奥座敷」とも呼ばれる一帯は、山あり、湖あり、歴史あり。ここは今、空前の直虎ブームに沸いている。井伊谷(現在の北区引佐町井伊谷)を約600年にわたって統治したといわれる井伊家。井伊直虎の時代、井伊谷は今川氏、武田氏の大国に挟まれた小国。直虎は激動の戦国の世において領地、家臣、領民を守り、女城主として井伊家繁栄の礎を築いた。
浜松市北区引佐町、標高250メートル付近に広がる「久留女木の棚田」。開墾は直虎の祖父の時代ともいわれ、直虎も愛した風景は戦国時代から今に至るまで受け継がれ、「日本の棚田百選」にも選ばれている。希少な湧水を分け合い、守ってきた景観。そこに伝わる竜宮小僧の伝説は、世代を超えて変わらぬ優しい心をつないでいた。
浜名湖の湖北五山の一つ、龍潭寺。733年、行基上人が開山した臨済宗の古刹(こさつ)だ。ここは井伊家の菩提(ぼだい)寺であり、今川の手を逃れるために直虎が出家した地。井伊家の忘れ形見・直政(幼名:虎松)を命に懸けて守り、直政が徳川家康の元「井伊の赤鬼」と呼ばれるまでに成長した姿を見届けるかのように、この地で息を引き取った。そして、井伊家の物語の舞台は滋賀・彦根へと続いていく。
奥浜名湖を旅するのは俳優・中本賢。新緑の中、地元に愛されるローカル線・天浜線(天竜浜名湖鉄道)始発駅の掛川駅から奥浜名湖の穏やかな風に揺られ、姫街道を歩いて一面の茶畑に出合う。井伊家とゆかり深い方広寺では宿坊体験、名物の「精進うなぎ」に舌鼓。そして久しぶりに訪れた久留女木の棚田では、16年ぶりの再会が待っていた。
直虎の波乱に満ちた人生。そのゆかりの地を訪ね、壮絶な生きざまを支えた故郷への思いをたどる2泊3日の旅。