新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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新潟 南魚沼 春を待つ「白の世界」
  ~勇壮!1200年の歴史「裸押合い大祭」をゆく~

日本有数の豪雪地帯・新潟県魚沼。サンフランシスコやアテネ、リスボンとほぼ同じ北緯37度に位置しているにもかかわらず毎年3メートルを超す積雪があり、これほど雪深い地で人々が生活する場所としては世界でもまれな地域でもある。なぜ人は半年近くも雪に覆われる豪雪地帯に住み続けているのか? 今回はそんな“白の世界”を描いていく。その中で行われる、祭りの“炎”。真冬の静寂を表現しながら、動と静を紹介する。
江戸後期にベストセラーとなった、越後魚沼の生活を記した鈴木牧之著「北越雪譜」。ここに記された雪国の生活を旅人・中本賢が実体験。さらに、新潟県高田に生まれた洋画家・富岡惣一郎が描き続けた“白の世界”。彼が「トミオカホワイト」で表現した平滑、清澄で独特な白と黒の世界は、海外でも“東洋の白”と称賛された。その芸術性に感銘を受けた後、旅の疲れを「里山十帖」の絶景露天風呂で癒やし、そして今回の旅のハイライト、全国三大奇祭の一つといわれる南魚沼市浦佐の「裸押し合い大祭」へ。
祭りは普光寺境内の毘沙門堂の本尊に、多くの信者が他人より早く祈願しようと押し合ったのを起原としている。毎年3月3日に行われ、数百人の男たちが「さんよ、さんよ」の掛け声と共に五穀豊穣、家内安全、身体健康を願い、ご利益の御札を我先にと奪い合い、もみ合う。勇壮なこの雪国の祭は、深夜にまで及ぶ。もちろん、旅人・中本賢も参加! 純粋な若者たちとその感動を共有する。
旅の終わりは最高級の南魚沼産コシヒカリに舌鼓。半年もの豪雪に耐え、じっと春を待つ雪国を歩く。