新・にほん風景遺産~故郷を見つめなおそう~

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800年の伝統!青森・八戸の小正月
春を呼ぶ優雅な舞「えんぶり」

青森県の南東部に位置し、南部地方の中心として古くから栄えてきた八戸市。太平洋に面し全国有数の水揚げ量を誇り、また東北有数の工業都市でもあります。さらに市街地のほど近くには種差海岸の美しい自然が広がり、八戸は漁業・工業・自然の多彩な魅力をあわせ持ちます。
初夏にはヤマセと呼ばれる冷たい海風が吹き、雨や霧で肌寒い日が続き、昔から八戸地方の農業に甚大な被害を与える一方で、南部せんべいなど独特な食文化が生まれるきっかけとなりました。

「八戸えんぶり」は、八戸地方に春を呼ぶ郷土芸能で、毎年2月17日から20日まで行われます。その年の豊作を祈願する祭りであり、昭和54年、国の重要無形民俗文化財に指定されました。
その名は、田をならす農具「えぶり」や、「いぶり」(ゆすぶり)に由来すると言われ、冬の間眠っている田の神をゆさぶり起こし、田に魂を込める儀式とされています。
一番の見どころは、太夫と呼ばれる舞手が、馬の頭をかたどった華やかな烏帽子を被り、頭を大きく振る独特の舞。稲作の一連の動作である種まきや田植えなどの動作を表現したものです。
また、太夫の舞の合間には、子どもたちによる可愛らしい祝福芸や恵比寿様が鯛を釣る顛末を面白おかしく演じる恵比寿舞などが披露され、見る者を楽しませてくれます。
えんぶりの組は、舞手のほか笛や太鼓、歌い手など1組20~30人ほどで構成され、八戸市や周辺町村から30を超える組が祭りに参加、街中が「えんぶり」の熱気に包まれます。

「えんぶり」開催中、冬の八戸を旅するのは、俳優・石丸謙二郎。
えんぶりに参加する「八太郎えんぶり組」に密着し、祭りにかける熱い想いに触れ、八戸の郷土料理“そばかっけ”や“豆しどき”に舌鼓。
また、イサバのかっちゃ(魚売りのお母さん)で知られる陸奥湊の朝市や、八戸夜の顔・横丁も満喫する冬の八戸の魅力満載の2泊3日の旅です。