12月18日(金)・12月20日(日)再放送

地域観光資源としての「近代化産業遺産」

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我が国が世界に誇るもの作りやサービス業は、幕末から昭和初期にかけての産業の近代化にそのルーツがあります。それを証明するものとして、数多くの建造物や機械、歴史資料等が今日まで残っています。これが近代化産業遺産なのです。この近代化産業遺産を同じストーリーでひとつづつにしたものが近代化産業遺産群なのです。
近代化産業遺産群は、現在66のストーリーがあります。例えば、製鉄業は、幕末の岩手県釜石で高炉が造られ安定した操業を行った訳ですが、近代化が進むにつれて製鐵の需要が高まり、政府は九州の八幡に新たな製鉄所を建設しました。このなかで近代化産業遺産に認定されたそれぞれを、結んだものが近代化産業遺産群です。
桐生市は、日本有数の織物の都市として知られ、隣の栃木県足利市などとともに両毛地域の絹織物業を支えて来た重要な都市です。優れた生産体制により支えられる両毛地域の絹織物業として近代化産業遺産群に認定されました。桐生は撚糸、染色,仕上げなど各専門業者が集積し、この旧織物会館を中心に、その業者達が情報のやり取りをしていました。
桐生川のほとりにあるのが群馬大学工学部。大正5年に建てられた校舎が、近代化産業遺産として認定されました。群馬大学は大正4年に桐生染色高等学校として開校しました。桐生市内にあるノコギリの形に似た屋根を持つ工場もま近代化産業遺産に認定されました。木造、モルタル、レンガ、石造りと様々。工場としてだけではなくあらゆる利用方法が模索されています。
工場部分を縮小して、織物の博物館として開館したり、大谷石のノコギリ屋根工場を外観そのままにヘアサロンとして利用しています。近代化産業遺産に認定された旧金谷レース工業の建物は、およそ100年の歴史があります。工場には事務所と住居が併設、大正、昭和を感じさせる作りになっています。跡地はベーカリーとして利用されています。
近代化産業遺産は、その地域の経済発展の歴史を示す遺産でもあり、地域の人たちが近代化産業遺産に対して、自分たちの歴史を語ってくれる遺産であるという意識を持つ事が望まれます。そして地域活性化の新たな「種」としての活用も望まれています。
スタジオには近代化産業遺産群の選考委員をしたお茶の水女子大学大学院教授の小風秀雅さんをお迎えしてお話を伺います。