7月11日(金)放送・7月13日(日)再放送

「“生物多様性” 人間と生物の共生へ… ある街の挑戦」


◎今回のお客様は?
江戸川大学社会学部教授で生物多様性に詳しい吉田正人さん。生物多様性とはどんなものなのか?そして生物多様性が崩れることによってどのような影響が出るのかなど詳しく解説していただきます
◎生物多様性とは・・・
私たちは、森や川などの自然、動物や植物に囲まれて生活しています。私たちが吸っている空気や飲んでいる水。そして食料など私たちの生活にはなくてはならないもの。このように、私たち人間を含め、すべての生き物が支えあい、関わりあって生きていることを生物多様性といいます。
◎生物多様性の危機
人間の活動により、自然が破壊されたり、地球温暖化により、たくさんの動植物が絶滅の危機に瀕しているなど生物多様性は全世界で問題となっています。
◎コウノトリ
日本の特別天然記念物に指定されているコウノトリ。かつては日本各地に当たり前に生息する鳥でした。しかし、第二次世界大戦末期に燃料不足などのため、コウノトリの巣となる松の木が伐採されたり、戦後の農薬を使う農業の普及により、コウノトリを取り巻く自然環境は急速に悪化し、昭和46年、野生のコウノトリは日本の空から姿を消したのです。
◎人間と生き物が共生する街(1)
兵庫県豊岡市では一度は日本の空から姿を消したコウノトリを野性に還す取り組みを官民一体となって行っています。
昭和40年にコウノトリ飼育場を造り、野生のコウノトリを捕獲し、人工飼育による増殖計画を進めました。しかし当初は卵がふ化しないなど苦難の連続。その後昭和46年に野生最後のコウノトリが死んでしまうのです。
◎人間と生き物が共生する街(2)
昭和60年に旧ソ連から6羽のコウノトリを譲り受け、平成元年ついにコウノトリの人工繁殖に成功します。ここから豊岡市のコウノトリの野生復帰計画がスタート。まずはコウノトリの餌場を確保するために、無・低農薬農法を取り入れ、コウノトリの餌となるドジョウや小魚が田んぼに還ってきたのです。そこで平成17年飼育コウノトリが5羽放鳥されました
◎人間と生き物が共生する街(3)
豊岡市では子ども達への環境教育も進めています。小学校の横の田んぼを借りて、アイガモ農法で稲を育てたり、田んぼにいる生き物を実感させるために「生きもの調査」を行ったりしています。
◎第三次生物多様性国家戦略
(1)生物多様性を社会に浸透させる
(2)地域における人と自然の関係を再構築する
(3)森・里・川・海のつながりを確保する
(4)地球規模の視野をもって行動する
◎生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)
2010年には「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」が、愛知県名古屋市で行われることになりました。
この2010年という年は国連により、「国際生物多様性年」として定められた節目の年で、日本の活躍が世界からも注目されています。