地球の目撃者 標高6700m 世界最高地点のインカ遺跡

地球の目撃者 標高6700m 世界最高地点のインカ遺跡

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それは世紀の大発見でした。1999年――
アメリカの考古学者ヨハン・ラインハルトはアルゼンチンとチリの国境にあるアンデスのユヤイヤコ山を発掘。
標高6700mをこえる山頂付近から三体のミイラを発見しました。それは人身供養の儀式で生け贄となった子供たちでした。秘められた儀式の跡、それは世界最高地点のインカ遺跡。間違いなく世界で最も高い場所にある考古学遺跡なのです。


アルゼンチン・サルタの高地考古学博物館に子供たちのミイラは保存、展示されています。
中でも15歳の「ドンセリャ(処女)」と呼ばれるミイラの保存状態は世界に類を見ません。
皮膚は乾燥しきっておらず、まるでただ眠っているようにも見えます。それは標高6700mという山頂付近の寒さ、周囲は砂漠という乾燥した環境が生んだ偶然の奇跡でした。


神の山、アンデス、ユヤイヤコ。彼女はなぜ、その身を神に捧げなくてはならなかったのか?
エベレストに2度の登頂経験をもつという写真家石川直樹は、生け贄の子供たちが歩いたルートを実際に辿り、謎に迫ってみようと思いました。
2013年1月、写真家はユヤイヤコ山に向かいます。


ユヤイヤコ山に向かうルートで、写真家はアンデスの人々の中にいまだに残るミイラ信仰に遭遇します。かつては代々の皇帝のミイラを大切に保存、信仰の対象としていたというインカ帝国。
民間に残るミイラ信仰はインカの昔から継承されてきたものでした。


また、生活の中に密着したシャーマン=呪術師たちにも出会いました。
シャーマンたちはいまも日常的に人々のため、山や水や大地の神を呼び出し、祈りを捧げていたのです。


ペルー、チチカカ湖のソカ村。そこでは人々は自然の食材だけを口にし自然とともに生きていました。そしてやはりシャーマンが神に祈りを捧げていました。写真家の印象に深く残った村でした。旅の途中に少女がチチカカ湖に立ち寄った可能性もあります。


日本から登山のベースキャンプまで55時間の旅。
そこから標高6700mの山頂まで更に4日間を要します。
その中で、襲いかかる数々のトラブル。突然の集中豪雨で道は水没。撮影を担当する筈だった地元登山家が高山病により脱落。


予想もできなかったトラブルが重なり、命を削るような苦しい登山が始まります。その時写真家を支えたのは、『どうして15歳の少女が、こんな標高まで自分の足で登り、生け贄にならなければならなかったのか?』という疑問、そして少女に対する思い。


世界最高地点のインカ遺跡――
少女を生け贄として神に捧げた儀礼の謎がいま解き明かされようとしています。


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