春の京都・眠れる秘宝2017 ~探訪 非公開文化財~
お知らせ
・「春の京都・眠れる秘宝2018」放送決定!!どうぞお楽しみに!
2018年4月15日(日)午後1:00~1:55
・京都古文化保存協会が運営する「春期京都非公開文化財特別公開」の 詳細情報はこちら
・併せて、こちらもご覧ください。 (朝日新聞デジタル特設ページ)
・2016年4月放送の番組情報は こちら
・2015年4月放送の番組情報は こちら
番組概要
京都の社寺には、保存の難しさなどから一般公開されていない文化財が少なくありません。それらを拝観できる貴重な機会が、「京都古文化保存協会」の主催で毎年春と秋の2回行われている『京都非公開文化財特別公開』です。
これまで番組では、俳優・片岡鶴太郎がその特別公開が行われる社寺を巡り、秘宝と呼ぶに相応しい数々の貴重な文化財を目のあたりにしました。
そして今回の第3弾では、京都市内、さらに大原や嵯峨野など洛外の社寺を訪れました。テレビ初公開となる江戸時代前期の屏風図をはじめ、焼損して炭になりかかった仏像や、山中深くにたたずむ寺の宝物など、普段ほとんど見ることのできない貴重な文化財に触れ、その美しさや魅力はもとより、それら大切に守ることの難しさや課題をお伝えします。
■出演 片岡鶴太郎
訪問スポット
●北野天満宮(京都市上京区)
学問の神様・菅原道真を祀った神社「天満宮」のなかでも防府・大宰府とならんで日本三大天満宮のひとつとして全国にその名を知られる北野天満宮。片岡が訪れたその日は、道真が愛していたという梅が見ごろを迎え、多くの参拝客で賑わっていました。片岡が向かったのは、豊臣秀吉が洛中と洛外を分けることなどを目的に築かれたとされる「御土居」の跡。小高い塁の上から社殿などが見渡せたり、梅の小道を散策できたりと観光スポットとしても知られていますが、近年、その「御土居」で修復工事が行われています。案内されたその場所には、本来は地中で見えないはずの暗渠の遺構がむき出しになっていました。その意外な理由とは…?また、最近になって非常に良好な状態で発見された屏風図「北野・東山遊楽図屏風」をテレビ初公開! 江戸前期の京都の人々や風俗を生き生きと描いた屏風図に、画家でもある片岡は興奮の面持ちで出会います。
●寂光院(じゃっこういん・京都市左京区)
寺伝によれば、594年に聖徳太子が建立した寺で、第3代住持・建礼門院(平徳子)は平安末期に権勢を誇った平清盛の娘。源平合戦の末、壇ノ浦の戦いに敗れ、我が子・安徳天皇と入水自殺を図ったものの源氏側に救い出され、その後、出家して寂光院で息子と平家一門の菩提を弔ったと伝えられます。苦しい歴史と物語が秘められた静かなたたずまいの尼寺ですが、2000(平成12)年、放火とみられる火災により本堂が焼失、本尊として置かれていた地蔵菩薩立像(国指定重要文化財)も焼損してしまいました。関係者の修復努力によって現在は収蔵庫に大切に安置されていますが、表面が黒く炭化して痛々しい姿になっています。しかしながら、なお、凛としたその立ち姿に、拝観を許された片岡は思わず息を呑みました…。
●美術院国立修理所(京都市下京区)
寂光院の本尊を修復したのは、美術院国宝修理所。火災の報を聞きつけて寂光院へ駆けつけた藤本青一所長ら関係者は、あまりの焼損ぶりに衝撃を受けたといいます。鎮火後に急ぎ運び出し修復を行なった藤本所長を訪ね、当時の資料を交えて話を伺います。焼損を理由に指定解除を受けるべきところの本尊から重要文化財指定が外れなかった理由には、実は、ある奇跡的な出来事が関係していたからなのです…。
●古知谷阿弥陀寺(こちだにあみだじ・京都市左京区)
1609年に、作仏聖・弾誓(たんぜい)上人が開山した念仏道場。上人は木の実や草のみを食す「木食(もくじき)行」を積んで、自ら石棺に入り即身仏(ミイラ)となったと伝えられています。皇室の祈願所ともなった古刹ですが、寺の住職が不在となる「無住」の状態となり、荒れ果てた時代があったのでした。幽玄の雰囲気漂うこの阿弥陀寺を訪れた片岡を出迎えたのは若き僧侶。空白となった時代の寺の歴史や宝物の由来について知ろうと、現在、文献片手に調査に取り組んでいます。≪弾誓自作の植髪像≫や、鎌倉期作の≪木造阿弥陀如来坐像(重要文化財)≫を案内されながら、片岡はそんな若い僧侶の熱い思いを受け止め、語り合いました。
●厭離庵(えんりあん・京都市右京区)
厭離庵は、霊元天皇により「厭離穢土 欣求浄土(えんりえど ごんぐじょうど)」から付けられた庵名と伝わっています。西嵯峨野・小倉山の麓のこの場所は、もともと藤原定家の山荘跡で、その後長く荒廃していましたが、後に冷泉家が修復し、臨済宗天龍寺派の寺となりました。定家が小倉百人一首を編纂した場所、「小倉山荘」の跡地が、現在の「厭離庵」です。普段は非公開ながら、今年の春の特別公開で開かれるこの寺を一足先に訪ねた片岡を驚かせたのは境内の見事な景観。建造物は明治・大正時代のものながら、本堂や茶室をはじめ素朴なたたずまいをみせてくれたからです。寺内を住職に案内されるなかで、“無住の時代”に危機意識を感じて仏門に入ったという経歴の住職との会話に片岡が感じたものとは…?
●対談「文化財保護に博物館が果たす役割とは」
旅の終わりに片岡は、美術史家としても知られる京都国立博物館・佐々木丞平館長と語り合いました。自然環境の変化や、時代の変化によって、古より大切に伝えられてきた宝物や建造物だけでなく、寺や神社そのものの存立が危うくなりつつある現代に、私たちはどう向き合っていくべきなのか…? そのために国や地方自治体がすべきこととは…? そして、“公共の収蔵庫”でもある博物館の存在は文化財保護にどう役立たれるべきなのか…? 佐々木館長は言います。「文化財にとって最大の危機は『人々の無関心』である」と。