にっぽん今昔道 江原啓之のちょっと道草
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ストーリー

埼玉県・「豊かなる想う力・浦和」




今回は、埼玉県浦和が道草の舞台。
中山道・六十九次のうち江戸・日本橋から数えて3つ目の浦和宿本陣跡から道草スタート…五街道の一つ中山道ですから、何か古き良き日本に出会える予感が…
鉄筋のビルが立ち並び、昔の面影が少なくなってしまった中山道沿いを歩いていると立派な石で囲まれたお宮を発見。中山道沿いに鎮座する「調神社(つきじんじゃ)」です。
神社の入り口で、とてもめずらしいモノを発見した江原。
なんと、そこには狛犬ならぬ「兎の石像」が神社を守っていたのです。
参拝を済ませて、さっそくこの神社の不思議について権禰宜に伺ってみることに。

こちらは伊勢神宮の御調(みつぎ)の初穂をおさめる倉庫から発展した神社だそうで、「調神社(つきじんじゃ)」の名前の由来も御調(みつぎ)の「調」からついたそうです。
また中世の頃、月が出るのを待つという月待供養が盛んで、「つき」という名前の響きを「月」になぞらえた地元の人々が月の神としてお参りされていたことから、兎を月の神の使いとして神社の石像や社殿の彫刻などのモチーフにしているといいます。
想像力豊かな人々の信仰が古より伝わり、今も愛されているお宮に感激の江原。

再び中山道沿いを歩いていると街道沿いに趣のある建物を発見。
古い看板には「襖・屏風」の文字が…。こちらのお店は江戸時代から続く原田表具店。
和紙や布を使用し掛軸、和額、屏風、襖などに仕立てているそうです。
7代目の御主人にお話を伺うこと…表具師とは、昔はとても格式の高い仕事だったそうです。
昔、父親と一緒に仕事に行ったお宅で、お茶や座布団が出なかったら、仕事を置いて家へ帰って来てしまったものだと懐かしそうに話してくれました。

中山道の風景もここ10年でほとんど変わって、ビルや駐車場になってしまったと残念そうに話す7代目。
風景の変化と共に、和室のある家が少なくなり、屏風や掛け軸を飾る家もなくなってしまったけれど、昔は季節の移り変わりや人生の節目、来てくださるお客様にあわせて屏風や掛け軸を掛け替え、部屋を飾っておもてなしをしていたと言います。

昔の人々の感性豊かな想像力こそ、今の日本人が求める大切なものだと感じた道草でした。