ストーリー

8月31日(水)放送  第9回:「娘の婚約者」

この日の猪瀬家は、いつになく妙な雰囲気に包まれていた。直也(柴田恭兵)は緊張した面持ちで表情を強張らせている。はじめて真紀(田丸麻紀)の婚約者と対面する日なのだ。
「真紀に相応しいかどうかは俺が判断する」
ただ娘が選んだ相手と会えるのを楽しみにしている早季子(浅田美代子)とは違い、直也は男親特有の厳然たる態度で相手を威嚇しようとしているようだ。早季子は、自分たちが結婚したときの父の様子と今の直也がそっくりなことを思い出し、妙な感慨に耽っていた。
そこに、ついに真紀が高樹隆史(TETSUYA)を連れて来た。隆史は真紀より年下で、どこか頼りない印象。言葉の端々に、いかにも最近の若者らしい軽さがある。
「歳は? 仕事は? 年収は? 出身は?」
まるで刑事の取り調べのような直也の尋問が始まる。
元刑事である直也の貫禄ある尋問を受け、「マジ、かっけー! あ、スンマセン。仕事は、ミュージシャンです。他にバイトもしてます。これ、容疑者追い詰める尋問みたいっスね」
いかにも最近の若者風の言葉遣い。妙になれなれしい態度。定職を持たない甲斐性なしのミュージシャン……。
「俺は許さない」隆史のどこをとっても直也が気に入る部分は一切無かった。
隆史のことを聞いた多田野(金田明夫)は、それが結婚詐欺の手口ではないかと忠告する。真に受けた直也は自らの目で見極めようと、早季子と真紀を買い物に行かせ、一人隆史と対峙する。
しかし、隆史の口から出てくるのは、直也をますます逆上させるものばかり。
二人のなれそめは、ナンパ。しかも、真紀からのいわゆる逆ナン。
直也の我慢の限界に達しようとしていたところで、やくざの大場(山田明郷)が“ブレーン”を率いて現れる。ブレーンとは、町内会長・江田島をはじめ、『刑事ドラマサークル』のメンバーである。
結婚詐欺師が現れたと聞いて駆けつけて来た彼らは、隆史の化けの皮を剥がそうと尋問攻めを開始する。
隆史は真紀にとってほとんどヒモ同然の存在であり、結婚式を挙げる予定もない。そう軽々しく告白されて怒りも限界に達し、直也は隆史に殴りかかろうと一触即発の状態に……。
「アンタらに俺の何がわかるって言うんだよッ!」
と、激昂したのは、隆史の方だった。

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