ストーリー

8月3日(水)放送  第5回:「泥棒の帰郷」

早季子(浅田美代子)も真紀(田丸麻紀)も外出中の、とある昼下がり。直也(柴田恭兵)が近所の買い物から戻ると、何やら物音がするのに気づく。他に誰もいないはずの家の中に、人の気配。最近近隣で空き巣被害が多発していることを思い出し、直也が家の中を調べてみると、洗面所の床を踏み抜いて足が抜けずにもがいている一人の男(國村隼)がいるではないか。紛れもなく空き巣であった。
「ごめんなさい! どうか警察だけは許してください。まだ何も盗ってないんですから」
必死に懇願する空き巣に対し、直也は現役時代を思い出し、さながら警察の取り調べのように尋問を始める。

男の名は三上昇。20年以上前に出稼ぎで上京したが、仕事がうまくいかず、故郷の青森へ帰ることを決意。夜行バスに乗るまでの間、最後に懐かしい下町界隈を目に納めようとぶらついていた時、鍵のかけられていない留守の家を発見し、つい出来心で盗みに入ってしまったのだ。堂々と玄関から侵入したと言われ、直也の元警察官の面目は丸潰れだ。近所に買い物に出る際、直也はつい鍵をかけ忘れていたのである。
三上は、故郷の青森に家族を待たせている、と言う。初犯と見られ、それほど悪質でもない。三上の哀愁たっぷりの苦労話を長々と聞かされているうち、直也は次第に三上を咎める気を失っていく。
「とにかくもう、馬鹿なことするんじゃないぞ」と、さすが人情刑事と呼ばれた直也らしく、この日は見逃してやろうかという思いに駆られる。
玄関で三上を送りだそうとした時、派出所の警察官が多田野刑事(金田明夫)からの伝言を伝えにやってくる。直也が元刑事であることを初めて知り腰を抜かす三上。そこに、早季子が帰宅する。直也は咄嗟に三上が空き巣であることを隠し、昔ながらの知り合いだと紹介する。早季子はすっかりそれを信じ込み、三上をその日の夕食に誘うのだった。
真紀も加わって夕食を共にしながら、三上の身の上話に花が咲く。そうするうち、直也には三上の素性が見えてくるのだった。
三上は嘘をついていた。実は故郷で家族は待っていない。仕事にめぐまれず東京各地を転々とし、貧しさに喘ぐうちに妻子と別離していたのだ。
「その娘が、来週結婚するんですよ」
三上が直也に意外なことを打ち明けた。しかし、今さら家族に会わせる顔もなく、どうしていいものやら戸惑っているのだった。
そんな時、三上の携帯電話が鳴る。それは、結婚を控えた娘からであった……。

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