家族法廷

家族法廷

  • トップページ
  • ストーリー
  • キャスト・相関図
  • 主題歌
  • スタッフ

ストーリー

【2011年12月21日放送】 第1話  「父親失格」

小野寺達彦(62)(長塚京三)は裁判官。人を裁き、争いを仲裁し、生き方を諭す。まさに“人間の鑑”ともいうべき尊い職業に大きなやりがいを感じている達彦は、根っからの仕事人間だ。山のような資料を家に持ち帰っては公私の区別なく仕事に明け暮れてきた。そうして家族を顧みることもなく還暦を過ぎることができたのも、妻のサポートあってこそだった。
「母さん、コーヒー。・・・・・・母さん?」
いつものように妻の幸子を呼んでみても、声は返ってこない。幸子は先月、この世を去ったのだ。
妻を失ってみて、はじめて気がついた。自分がいかに家族と向き合っていなかったかを。長女らしい奔放さが目立つ久美(37)(松永玲子)、婚期を逃して必死に婚活を続ける次女の朋子(34)(岩崎ひろみ)、要領が良いばかりの末っ子・良弘(31)(TETSUYA)、甲斐性なしで陰が薄い久美の夫・健一(42)(六角精児)、そして、二人の孫。そんな家族をうまくまとめていた幸子の死によって、家族はたがが外れてしまったようにまとまりがない。達彦が携帯にメッセージを残しても、誰一人として返事もしてこない。
「これからはみんなとキチンと向き合って行きたいと思う」
達彦は仕事人間から脱却し、家族の絆を取り戻そうと決心した。しかし、プロの裁判官であっても、自分の家庭ばかりはうまく裁けないようだ。
そんな小野寺家に新しく雇われた家政婦の冴子(28)(ミムラ)がやって来た。無愛想な女だが、その日から少しずつ小野寺家に変化の兆しが見え始める。

そんなある日、久美と朋子が激しい口論を始めた。達彦は裁判官として中立の立場で双方の言い分に耳を傾ける。
二人の争いは、家の改築を巡ってのことだ。達彦の知らないうちに改築計画が進められていたのだが、久美は壁をぶち破っての大規模な改築を希望し、朋子はそれに反対しているのだった。双方譲らず、泥沼の様相だ。
「お姉ちゃんはお母さんが大事にしてたこの家をメチャクチャにしたいだけなんでしょ!」
朋子が言った核心を突くひと言は、達彦に衝撃を与えた。両親が病弱だった朋子にばかりかまっていたことを、久美は小さい頃から不満を抱いていたという。それに対する逆恨みから、久美は改築をしてこの家での思い出を壊してしまいたいと思っているのだ。
「私に寂しい思いをさせたこの家をぶっ壊したいのよ」
家庭内には以前から亀裂があったことを知った達彦。その修復の難しさを思い知り、頭を抱える。

家族の絆を取り戻そうと、達彦は昔の家族の写真が収められたアルバムを取り出す。すると、そこに挟まっていた一枚の写真が発見される。その写真には、幸子が見知らぬ男とともに写っていた。まさか、幸子が浮気を? ケンカを止めさせるつもりが、かえって騒動を広げる結果になってしまい、家族は気まずいムードに包まれる。
そんな時、冴子が写真の中に文字が写っているのを見つける。よく調べてみると、京都のとある神社の名だ。・・・・・・写真は、久美の修学旅行の時の写真だったのだ。
「・・・・・・思い出した。私が京都で熱出したら、お母さんが車飛ばして来てくれたんだ。ごめんね、お母さん。私、十分愛されていたのよね・・・・・・」
それは、久美が忘れかけていた、母の愛情の深さを実感できる記憶であった・・・・・・。