ザ・インタビュー ~トップランナーの肖像~

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8月23日(土)ゲスト:岸谷五朗

舞台・映画・TVで活躍を続ける実力派俳優・岸谷五朗(49歳)。意外と知られていないのが「演出家」という横顔だ。 1994年に盟友・寺脇康文と共に演劇ユニット「地球ゴージャス」を立ち上げた岸谷。歌あり、踊りあり、笑いあり。エンターテインメント性溢れるステージは評判を呼び、現在まで13作品を世に送り出し、何と延べ80万人以上の観客を動員。最もチケットが入手困難な人気演劇ユニットの一つになった。 その公演のほとんどの作・演出を担当してきたのが、ほかならぬ岸谷だ。

今年8月24日から公演される岸谷五朗演出、黒木メイサ主演の最新舞台「VAMP ~魔性のダンサー ローラ・モンテス~」の稽古場を訪ねたのは、インタビュアー、元サッカー日本代表の中山雅史。 岸谷と会うのは日韓W杯があった2002年以来、12年ぶり。初めて見るという舞台稽古、そして岸谷五朗の演出方法をじっくりと見学してから、稽古場近くの割烹店へ。サッカー経験者、同性代という共通点のある二人が酒を酌み交わし、自然体で語り合ったのは、これまで、そしてこれからの人生についてだった。

自身の人生を章で例えるなら、演劇に目覚め、のめり込んでいった第一章、自ら劇団を立ち上げ、俳優・演出家として成長していった第二章、そして50歳を迎える今、第三章に突入したと語る岸谷。 一方、未練を残しながらもケガの為、ピッチを離れた中山は、現役復帰して第二章の人生を続けるべきか、あるいは第三章という新たな人生を歩むべきか迷っていた…。

演劇とサッカー、ジャンルが全く異なる二人ながら、語り合えば語り合うほど見つかる、分かり合える、意外な共通点。 理想の監督・演出家像やリーダー哲学、現役の引き際等々、様々なテーマを肴にトーク。TVではほとんど見ることが出来ない岸谷五朗の実像と素顔を紐解いていく。

8月24日(日)ゲスト:隈研吾

現在、15カ国で70以上のプロジェクトを抱え、世界中から注目を集めている建築家・隈研吾。隈は自らの建築理論を「建築が環境に対峙するのではなく、環境に建築を溶け込ませる…」ことだと語り、それを「負ける建築」と表現する。 一体、どういうことなのか?

隈研吾の名を世界で有名にしたのは、中国、万里の長城近くに建設した「Great (Bamboo) Wall」。起伏の激しい敷地を一切造成せず、建築資材に竹を使い、竹林の空気感、非現実性を作り上げた。そして、新しくなった「歌舞伎座」、「浅草文化観光センター」「ティファニー銀座」。今や東京の街を歩けば、いたるところで隈が設計した建築を目にすることができる。

しかし、実は隈の建築家人生は決して順風満帆ではなかった。バブル絶頂時に設計した建物が、まるで〝バブルの権化〟のような扱いを受け、10年に渡り、東京での仕事を失っていたのだ。 仕事を求め、〝地方巡業〟を余儀なくされた隈だったが、各地で出会った、木、竹、石などの職人たちから多くのことを学び、彼自身が目指していた自然素材を活かした建築スタイルを飛躍的に進歩させたという。

現在、隈が多くのプロジェクトを抱えているのが中国だ。かつては、超高層、巨大建築などが求められていた中国だが、今や環境に配慮した建築が求められているという。建築中の建物の模型を使い、隈建築のイロハ、そして発想の原点が明かされる。

そして今、日本の建築は、2020年の東京オリンピックを控え、大きな岐路に立たされている。今後、どのような道を歩むべきなのか。隈が掲げた進むべき道は、「江戸化」。一体どういうことなのか…。

インタビューの舞台は、2004年に隈が建てた東京・世田谷の「村井正誠記念美術館」。隈の建築に宿っている精神、時代の先を行く発想の源は一体どこから生まれるのか、週刊「AERA」編集長の浜田敬子が、独自の視点で迫る。