昭和偉人伝

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古賀政男

日本歌謡界の礎を築いた作曲家の一人、古賀政男。悲しみあふれる演歌から、はつらつとした青春ソングまで、今も愛され続ける「古賀メロディー」。その誕生には、知られざる秘密が隠されていた。「古賀メロディー」を育んだ4つの秘密とは? 1つ目は、古賀メロディーのルーツ。それは“サーカスの歌”だった。サーカスでおなじみのジンタ『天然の美』の哀愁を帯びた旋律と3拍子は、『影を慕いて』『悲しい酒』などの名曲にも共通する要素。少年時代の古賀は、村にサーカス団がやって来るのを心待ちにしていたという。そして、2つ目は、都々逸、長唄などの伴奏で使う三味線を、西洋の民俗楽器、ギターに置き換えたこと。哀調を帯びたギターのイントロは、日本人の魂を揺さぶった。それ以後、バイオリンを使っていた演歌師は、ギターを持つようになった。3つ目は、海外でも認められたこと。アメリカ親善旅行の折、古賀メロディーはジャズ風にアレンジされ、全米ネットの電波に乗って好評を博した。そのほか、タンゴやビッグバンドにアレンジされた古賀メロディーは、旋律の美しさが世界で愛された。4つ目は、「詩はお姉さんで、曲は妹」という思い。詩を大切にした古賀は、作曲の際、詩人が託した望郷への思い、母を慕う心が曲になって溶け出すまで、何度も詩を読み返しながら、じっと待ったという。
古賀政男の作品は、豊かさの中で日本人が忘れかけている大切な“心”を、いつも呼び覚ましてくれる。古賀メロディーの特徴を、これまでにない視点で捉え直し、その本質に迫ることで、改めて“日本人の心”の原点に触れる。