にほん風景遺産

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にほん風景遺産スペシャル 美味・絶景!うましの里を歩く

未来に残したい日本の原風景を紹介し、人気の「にほん風景遺産」。
今回は、風景案内人・加藤千洋が、四季を辿り、美しき風景を訪ね、恵みの食と出会いました。
「美しき里にうましものあり」
鰊は、北海道に春を告げる魚。小樽市祝津は、鰊漁で栄えた町。今も鰊御殿と呼ばれる大きな建物が並び、大漁に港が湧きかえった往時を偲ばせます。
そこの海岸に面した食堂民宿「青塚食堂」は、昭和32年の創業で、祝津生まれ祝津育ちの6人兄弟姉妹が営み、「鰊を食べるなら」と地元ご推薦の食堂です。
店の前では、串にさした鰊を炭火で焼いて、焼きたてを食べることができますが、焦げて脂が落ちる音は、香ばしさと食欲を強くします。
山国長野でも最も山間の集落、秋山郷は、平家の落人が拓いたと伝わる里です。ここでは、絶品イワナの刺身と熊鍋を食しました。秋山郷では、冬眠明けの熊が美味いといわれ、脂ののった肉を水から煮て灰汁をとり、季節の野菜やきのこと煮込んだ醤油味の鍋です。
川の魚といえば、その代表は鮎。
岐阜県郡上市の街中を流れる吉田川は、鮎で知られた有名な渓流釣り場です。郡上の川は、冷たく清浄。釣った鮎を、刺身で食べることができます。
天然の鮎の刺身、加藤さんも思わず言葉を失いました。
富士山の麓、富士の湧き水を集めた芝川沿いには、将軍にも献上したといわれる川海苔「芝川のり」があります。今では、幻といわれるほど量の少なくなったこの海苔、しかし、一口含めば香りたち、野趣豊かな味わいでした。
東北の名峰鳥海山は、水豊かな山。この山に湧いた水は、米どころ秋田の水田を潤します。この伏流水の恵みは、創業500年を超える名酒「飛良泉」。500年枯れることのない清き湧水が美味い酒の味を醸し出します。
そして、この水が注ぐ秋田にかほの海は、岩ガキの漁場。夏、20センチ近い大きな岩ガキがとれます。大きくても、冷たい鳥海山の水に鍛えられた牡蠣の身は締り、甘味が濃厚、思わずお代わりをしたくなりました。
その他、佐渡のたらい舟で採ったあわび、能登の珍味くちこ、このわた。
そして、大分県中津市の中津干潟では、両手で抱えるほどの渡がにを堪能しました。
美しき風景に、春夏秋冬の恵みがあり、四季の国にほんは、食豊かな、食彩の国であることを、実感させる旅となりました。