文化遺産の旅
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長崎県・大村市編



今回の訪問地は、長崎県。穏やかな大村湾に抱かれた、大村市の文化を紹介する。

当地は古くから、戦国大名・大村氏の領地だった。中でも、大村純忠は、キリシタン大名の先駆けとしても有名だ。市内には至るところに、純忠縁の足跡が残っている。その一つ、大村純忠史跡公園は、晩年を過ごした館跡を保存したもの。声の旅人・寺田農は、庭園や石垣の名残りに当時を思う。

次に向かったのは、玖島城。純忠の子・大村喜前が築いた「海城」だ。大村湾に接しているため、天然の要害で難攻不落。今は大村公園となった構内には、船を格納した船倉の遺構もあった。景色も美しく風光明媚。海に沈む夕陽も素晴らしい。山の城とは一味違う、珍しい映像が続く。

旅の後半は、年に一度の「城下町灯籠まつり」を満喫する。市民のガイドに案内されて、城下町へ。江戸時代の息遣いを感じながら、文化遺産を巡っていく。声の旅人が目を留めたのは、長崎県の有形文化財・旧楠本正隆屋敷。幕末から明治維新にかけて活躍した、郷土の英雄である。今も残る屋敷には、時の重みが漂っていた。

祭りは、幻想的な灯籠に囲まれて食の楽しみへと移る。郷土料理の大村寿司は、豊かな風味が絶品の味わい。背景には、南蛮貿易に端を発する大村藩栄華の物語がある。長崎県大村市の文化は、歴史に育まれた壮大な絵巻であった。