世界の名画 ~美の迷宮への旅~

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ストーリー

ロココ 花開くフランスの美と栄華
ブーシェ「水浴のディアーナ」

番組名

今日の一枚は18世紀のロココを代表する画家ブーシェの『水浴のディアーナ』。
光を全面に浴びた、柔らかく女性的な肉体と淡いバラ色に輝く肌は豊かな官能性に溢れています。神話的なテーマを口実に女性の裸体を賛美した作品です。ブーシェは18世紀フランスを文化国家に押し上げた、ロココの頂点で享楽的な世界を描きました。
わずか60年ながらフランスに咲いたロココの華はいかにして生まれたのでしょうか?
全ての始まりは18世紀初め。ルイ14世の絶対的権力から解き放たれた人々は明るく華やかな世界を求めました。宮廷美術も、それまでの豪華絢爛なものから繊細で優美なものへと洗練されて行ったのです。
華麗な衣裳が登場し、白や金、ブルーなどの色彩が踊る、華やかな装飾が溢れたロココはまさに女性のための文化。
それを生み出したのはルイ15世の公妾であったポンパドゥール夫人でした。
平民の身分ながら、文学や歴史、演劇や舞踏など貴族同様の教育を受けた彼女は幅広い教養と魅力的な美貌で時の国王を虜にしたのです。宮廷に入るとその権力と巨万の富を最大限に利用し、理想的で甘美なロココの世界を築いていきました。
ポンパドゥール夫人の寵愛を受け、宮廷画家となったブーシェもロココの発展に尽力しました。夫人が組織した劇団の舞台デザインを手がけ、夫人が興したフランス伝統の磁器セーヴル焼独特の白い像を描くなどロココ文化の興隆に努めたのです。
2人の手により大輪の華を咲かせ、欧州各地へ広まって行ったロココですが、終焉は突如訪れました。繊細で女性的な時代に刻まれた光とは?そして闇とは?
18世紀、ポンパドゥール夫人に始まり、美しくも儚く散ったロココ文化。
王侯貴族、最後の栄華に隠された、知られざる真実に迫ります。