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ストーリー

今よみがえる 氷河期の動物たち 1 緑の楽園

最新の研究と独自の迫力あるCGで氷河期の動物たちの生態を解き明かすシリーズ、第1回。
はじめに紹介するのは氷河期に存在した緑豊かな動物たちの楽園。北アメリカ大陸の北側は氷のかたまりで覆われていたが、南側には温暖な気候があったのだ。
そこに君臨していたのは、ネコ科の大型動物サーベルタイガー。長くて鋭い牙をもち、もっとも狩りの能力に優れていたと言われる。
肉食動物が栄えたということは、獲物となる動物がたくさんいたということである。実際、サーベルタイガーの化石が数多く出土したアメリカ南西部では、巨大な甲羅をもつアルマジロの仲間やコロンビアマンモスなどすでに絶滅してしまった大型動物の骨が数多く見つかっている。
緑の楽園にいた動物たちはなぜ姿を消してしまったのか?
この謎について、氷河期の動物を専門とする学者たちが科学的研究をもとに解説。ベールに包まれた氷河期の世界が、最新のCGで今よみがえる。

今から250万年前、地球は氷河期に入った。北極の周りには氷で覆われた世界が広がっていたが、北アメリカ大陸の南側には、温暖で緑豊かな動物たちの楽園があった。この緑の楽園を最新の研究とCGを使って紹介する。
氷河期のロサンゼルスでは、ネコ科の大型動物サーベルタイガーが栄えていた。長くて鋭い牙で獲物ののどを切り裂き、自分より体の大きい動物までも倒すことができた。そのうえ、集団生活を営み、群れで狩りをするという、当時もっとも狩りの能力に優れた動物だったのだ。
一方、アリゾナの砂漠からは巨大な甲羅をもつアルマジロの仲間の化石が見つかった。彼らは固い甲羅で肉食動物から身を守り、大きなしっぽを使って応戦していたようだ。同じ場所からは、ネズミの仲間で現在南アメリカの湿地帯に生息するカピバラの骨も発見され、氷河期のアリゾナが砂漠ではなく川や湖だったことがわかった。
また、当時の海面は120メートルも低く、今とは全く違う海岸線をしていた。サンフランシスコ湾は青々と草木が茂る谷間で、そこには、アメリカ南部からメキシコにかけて生息していた巨大なコロンビアマンモスが食べ物を求めてやって来ていた。
ロサンゼルス近郊の街ラ・ブレアでは大量の化石が発掘され、花粉や昆虫などの小さな化石によって、当時この場所で大規模な気候変動が起きていたことがわかった。
気候変動の跡はグランドキャニオンにも残っていた。オオナマケモノの一種であるシャスタナマケモノが暮らしていたとみられる洞窟から、ナマケモノのフンと一緒に植物の化石も出てきたのだ。その植物を調べると、ある時期を境に洞くつの周りの気温が下がっていったことが明らかになった。
気温が下がると、緑の楽園で暮らしていた大型動物は、住みやすい土地へと移動を始めた。そして、長距離の移動ができない動物たちには死が訪れた。