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ストーリー

世紀の天体イベントが解き明かす 金星と地球

日本でも2004年6月、2012年6月に観測することができた、地球と金星と太陽が一直線に並び、金星が太陽の表面を横切って見える珍しい現象「金星の太陽面通過」。次に見られるのは2117年だという。この貴重な世紀の天体イベントは、太陽系に生命体が存在するのかという、宇宙最大の謎ともいえる疑問を解くカギだと言われている。
「金星の太陽面通過」から、金星と地球との関わりや歴史、その重要性を、宇宙物理学・生物学・海洋学の3名の学者たちがそれぞれの視点で紹介していく。

地球と金星と太陽が一直線に並び、金星が太陽の表面を横切って見える珍しい現象「金星の太陽面通過」。日本でも2004年6月、2012年6月に観測することができた。「金星の太陽面通過」は、金星と地球、それぞれの太陽の周りを回る速度の差と位置関係によって起こる現象で、一度起こると次は8年後、さらにその次は100年以上先となり、今度見られるのは2117年だという。
近代の天文学は、200年以上前にこの現象を計測した成果が基礎となっている。1768年、イギリス海軍であり探検家のジェームズ・クックは、タヒチで「金星の太陽面通過」を観測するため、歴史的な大冒険に出発。幾多の苦難を乗り越え、太陽と地球の距離を導き出すことに成功した。そして、この距離をもとに、太陽系をはじめ天文学における重要な距離の単位が定められ、現在でも用いられている。
厚い雲に覆われ、長い間謎に包まれていた金星。その様子はソビエト連邦時代、金星へ送られた探査機の写真から明らかとなった。金星表面は、生き物を寄せ付けない過酷な環境だったのだ。同じ太陽系の惑星でありながら、なぜこんなにも地球と違ってしまったのか解き明かしていく。さらに、地球の雲の中で生きている微生物を調査することで、適度な温度や湿気がある金星の雲の中に、生命が存在する可能性も考えられることがわかった。
「金星の太陽面通過」の観測技術を応用し、太陽系以外の惑星が恒星の前を通る時、わずかに減少する光の変化を最新の宇宙望遠鏡で観測。恒星を回る惑星の周期や大きさなどを解明し、望遠鏡に届いた星からの光の成分を分析することで、それぞれの惑星の大気の種類を測定。生命活動が可能な大気を持つ、未知の惑星の発見へと迫る。