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ストーリー

宇宙の秘密 2 星の消滅

星の一生は夜空に浮かぶ壮大なドラマ。星の誕生から消滅までの一生を7つに章立て、天文学の発展の歴史とともに見ていくシリーズ全2回。
星が最期に輝くとき、新たな物語が幕を開ける。第2回では、宇宙最大の謎・ブラックホールと生命誕生の秘密に迫りつつ、私たちと宇宙をつなぐ夜空の錬金術師・星に秘められた死と再生の物語をお届けする。
星は一生の間でさまざまな原子を生み出している。それらは、私たちを形作る大本の物質だ。星の死は同時に誕生の物語―。始まりは終わり、終わりは始まり。壮大な宇宙の神秘とは。

星は永遠のものではない。そして、死の形にはさまざまなパターンがある。1つは白色矮星(わいせい)になるパターン。恒星は内部で、外向きの圧力と内向きの重力とで激しい戦いを続けている。しかし、核融合の燃料の水素が尽きると重力に負け、星は崩壊する。その後、赤色巨星となり外側の層が飛ばされ、白色矮星が残る。中には燃料が残っていないため、あとは死を待つのみだ。
さらに重い星は、超新星爆発という大きな爆発を起こしてその最期を迎える。超新星爆発の残骸の色を見ると、そこにはさまざまな元素が存在していることがわかる。水素やヘリウムだけでなくナトリウムや鉄など、重い元素が爆発で放出される莫大(ばくだい)なエネルギーにより生成される。ここで作られた元素は宇宙へとばらまかれ、新たな星や惑星、また生命を生み出すための原材料となる。
超新星爆発が起きた星の中でも、さらに生き続けるものがある。それは中性子星と呼ばれるものだ。かつてフリッツ・ツビッキーにより存在を予言されていたが、当時は急進的な意見として受け入れられなかった。その後、電波天文学という分野が生まれると、宇宙から規則的に送られる電波を受信し、中性子星の存在が明らかになった。ツビッキーの説は正しかったのだ。超新星爆発が起き、星は収縮して密度が高くなる。すると中の電子と陽子が結びつき中性子へと姿を変えるため、中性子だけが残る。これが中性子星という名前のゆえんである。
いまだに謎が多いのはブラックホールである。これも星の死後の姿であるが、もとは超新星爆発後に中性子星、パルサーにさえならなかったさらに重い星だ。周囲の重力が非常に高く、中に入ると光でさえも出てくることはできない。ブラックホールと同じようにすべてを無にしてしまうのはビッグ・バンで、これこそが宇宙の始まりである。
こうして星の一生を見ていくと、宇宙や元素のことだけでなく、この地球や私たちの存在についても学ぶことができるのだ。