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ストーリー

神秘の大宇宙 Episode1 宇宙と時間

太陽系を解説した「神秘の太陽系」で、案内役を務めた物理学者ブライアン・コックス教授によるシリーズの第2弾。今回は、宇宙に関する数々の謎に迫る。
第1回のテーマは、“宇宙と時間”。時間とはどういう性質を持っているのか、また、宇宙や人間にどのような影響を及ぼすのかを探る。「時間の流れは決して逆行することはなく、未来にしか進めない。常に未来は変化し、過去とは違ったものになる。時間が進んでいくことで、いずれ全てのものに死が訪れ、消滅する。そして、宇宙全体が終わりを迎えたとき、時間も消滅する」と、ブライアンは語る。

第1回は、宇宙を語るうえで欠かせない重要な要素“時間”について解説する。
ブライアンが最初に訪れたのは、ペルー北西部にあるチャンキロ遺跡。ここにある「13の塔」は、2000年以上も前に作られた太陽観測所で、この「13の塔」は今でも太陽暦として使える。これが作られた当時と今も同じ位置から太陽が昇るからである。ブライアンは、「何千年も変わることなく正確に昇っては沈む太陽によって、私たちは“1日24時間”という時の流れを把握し、その時間単位をもとに生活しているのだ」と話す。続いてブライアンは、コスタリカ北部の海岸へ向かった。1億年もの間、ウミガメが産卵に訪れている場所だ。ブライアンはウミガメを眺めながら、人類の歴史をはるかに超えた長い時間の流れを感じる。
雄大な時間の流れを実感したブライアンは、次に“時間は逆戻りしない”ということを確認するため、アルゼンチン南部パタゴニアにある氷河を訪れる。時間の経過と共に氷河は少しずつ崩れ、湖に落ちていく。その氷の崩落が、逆の順番で起きることはあり得ない。湖の波が、崩れ落ちた氷のかたまりを氷河に押し戻すことは、決してないのだ。時間の流れは未来にしか進めない。さらに、ブライアンは「時間の経過と共に、宇宙のあらゆるものは変化し、一度変化したらもう元には戻らない。未来は常に変化し、過去とは違ったものになる。変化に変化を重ねて、時間は宇宙全体を進化させているのだ」と語る。
最後に、ブライアンはナミビアの海岸を訪れた。そこで、座礁して朽ち果てた難破船を見ながら、全ての命は滅びる運命にあることを説明する。
“時間”は、生命が生まれる環境づくりには欠かせない。時間の流れが、生命が存続できる宇宙を作り出したのだ。だが同時に、時間が進むことで宇宙は衰えていき、やがて全ての星が死を迎え消滅する。そして、宇宙全体が終わりを迎えたとき、時間も消滅するのだ。ブライアンは、「雄大な宇宙から見れば、人類の歴史はほんの一瞬の出来事でしかないが、その一瞬で目覚ましい進歩を遂げた人類の存在には意義がある」と締めくくる。