BBC地球伝説

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ストーリー

神秘の太陽系 Episode5 地球外生命体

物理学者ブライアン・コックス教授が、太陽系の様々な謎に迫る全5回シリーズ。太陽系はどのようにして生まれたのか?太陽系に存在する惑星や衛星では、今何が起きているのか?ブライアンが世界各地を訪れ、地球と他の惑星を比較しながら太陽系の神秘を解き明かす。
最終夜となる今回は、地球以外の惑星に生命体はいるのか?という最大の謎の答えを見つけるべく、生命を維持できる環境を持った惑星を太陽系の中から探すことを試みる。
ブライアン・コックス教授がまず向かったのは、メキシコのコルテス海。潜水艇アルビンに乗り、深海に生息している生物を見るためだ。水深1000メートルまで潜ると、気圧は金星の表面を上回る100気圧。海底には、熱水噴出孔と呼ばれる火山性の穴があり、300度近い熱湯が噴き出している。しかし、そんな環境でも、様々な生物が生息していた。
生命は、酸素、窒素、炭素、水素から成り立つ。そして、生命を生み出すエネルギーとなるのは、地球上では太陽、媒介となるのは水である。地球上の全ての生命は水を必要としているとブライアンは語る。
水の重要性を説明するため、ブライアンはチリのアタカマ砂漠を訪れた。サハラ砂漠の50倍も乾燥しているアタカマ砂漠。世界で最も乾燥している砂漠と言われるこの場所には、バクテリアすら生息していない。地球は、表面に水がある唯一の惑星だと言われている。しかし、これまで他の惑星に液体が存在したことはなかったのだろうか。ブライアンは、火星の表面に大量の水によって岩が削られた痕跡があることから、かつて火星にも膨大な量の水があったと推測する。さらに、火星探査機オポチュニティが、火星に水があったことを示す石こうを発見したことから、遠い過去のある時点では、火星には確かに水が存在していたと指摘する。
次にブライアンが訪れたのは、メキシコ・タバスコ州にある洞くつ。有毒な硫化水素ガスが発生しているこの洞くつにも、様々な生物が存在する。中でも関心を持ったのは、硫化水素を吸って硫酸を排泄するバクテリア。このような生物が地下に存在するなら、火星の地下にも生物がいる可能性があるはずだと、ブライアンは語る。
生物が存在する可能性があるのは、火星だけではない。凍った星にもかかわらず、近年、科学者たちの注目を集めているのが、木星の衛星エウロパである。ブライアンは、エウロパに生命が存在するかを探るために、アイスランドの氷河を訪れた。氷河の洞くつにある氷には、バクテリアが存在。NASAの科学者リチャード・フーバーは、エウロパの氷にも同じようにバクテリアが見つかる可能性があると指摘した。
最後にブライアンは語る。「もし太陽系に生命体が存在するなら、バクテリアのような単細胞生物であり、文明を作ることができる複雑な生命体が存在するのは、太陽系では地球だけである」と。