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ストーリー

世界のランドマーク その裏側に迫る!
ロンドンの大時計塔・ビッグベン

世界で最も有名な時計塔「ビッグベン」。イギリス国会議事堂のウェストミンスター宮殿の一角にあるこの時計塔は1日の誤差が1秒以内という正確さで時を告げ、イギリスのランドマークとして国民に愛されている。しかし、老朽化や傾きの問題などさまざまな問題を抱えていた。これからもずっと時を刻んでいくためには、こうした課題を解決しなければならない。そのために奮闘する人々を紹介しながら、ビッグベンの知られざる事実を語っていく。

ロンドンを代表する時計塔、ビッグベン。150歳を超えてなお活躍するビッグベンの機能を維持するため、日々さまざまな専門家たちが奮闘している。時計の機械部分を手入れするのは3人の時計職人。彼らは大時計だけでなく、議事堂内の約1500個の時計すべてを管理している。もちろん、ネジを巻くのも彼らの仕事。ビッグベンにはエレベーターがないため、334段もある階段を上って大時計のある時計塔へ向かい、電話で時報を聞きながら時刻を合わせている。
最近問題になっているのは、ビッグベンが傾いてきていること。現在の傾きは約180ミリ。200ミリを超えると崩壊の危険性が生じる。この傾きの原因は、テムズ川沿いの弱い地盤に建っていることと、地下鉄工事の影響だ。2003年に時計塔が大きく傾く動きが見られ将来が心配されたものの、レーザーによる測量の結果、かろうじて小康状態を保っていることが判明。監視を続けていくことで落ち着いた。
「ビッグベン」というと時計塔全体を思い浮かべるが、実は「ビッグベン」とは鐘につけられた愛称。今ある大きな鐘は2代目のビッグベンで、初代はテストの段階でひび割れが発生したため使えなくなり、鋳造し直して現在のものが完成した。しかしこの2代目にも2カ所のひびが入っているという。
また、ビッグベンの維持に尽力する人々を悩ませているのが鳥による被害。ハトやカモメのふんは石材を腐食するため、美しい外観が損なわれてしまうのだ。そこで登場するのが、なんと「タカ」。タカを使ってハトやカモメを威嚇し、塔に近づかせないようにしている。
こうした努力に支えられ、ビッグベンは今日も時を刻んでいる。維持に努める人々がいる限り、ロンドンが世界に誇るこの時計塔は時を告げ続けることだろう。