アジア神秘紀行

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ストーリー

光と影のアンコールワット~カンボジア・シェムリアップ~




カンボジアで一番の観光都市、シェムリアップ。世界的に有名なアンコール遺跡群への玄関口として毎年250万人以上が訪れ、近年急速に発展している街です。シェムリアップは遥か昔から、アンコール王朝歴代の王がその権力を誇示するかのごとく都城を築いてきた地であり、周辺には数多くの遺跡が点在しています。

中でも最も有名な遺跡がアンコールワット。東南アジアで最大級の石造伽藍であり、世界屈指の大寺院です。12世紀前半、アンコール王朝18代目の王が、神々の住む楽園を夢想し具現化するために築いたアンコールワット。この寺院の壁面には、カンボジアに伝わる様々な神話をモチーフにしたレリーフが描かれ、当時の人々の思いを知ることができます。その中の一つ、「ラーマーヤナ」と呼ばれるインドから伝来した神話は、カンボジアの風習や文化を取り入れ、カンボジア独自の物語として変化し、カンボジアの伝統文化に深く浸透しています。
「ラーマーヤナ」はアンコール王朝の時代から、「スバエク・トム」と呼ばれるカンボジア伝統の影絵芝居で演じられ、人々に親しまれてきました。シェムリアップが発祥の地と言われる「スバエク・トム」は、牛の皮で作られた大型の人形をかがり火を灯してスクリーンに映し出し、伝統楽器と語り部によって演じられます。しかし70年代半ばに起こった内戦によって一時は途絶え、伝統は失われそうになりました。それを復活させた人物がティー・チアンさん。彼は2000年に亡くなりましたが、彼の教えを受け継ぐ "ティー・チアン一座"が、今もシェムリアップの一角で「スバエク・トム」の伝統を守り続けています。

壮大なアンコール遺跡群を紹介するとともに、「スバエク・トム」の幻想的な世界を現代に受け継ぐ"ティー・チアン一座"の活動を通して、アンコール王朝時代から脈々と続くカンボジア人の精神に迫ります。