百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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奈良の名庭園邸宅「吉城園」
~近代和風と寺院様式の織りなす名建築~

今回は、奈良の名庭園邸宅「吉城園」を訪ねます。吉城園は、正法院寛之という実業家によって、大正8年に造られました。正法院氏は、かつては東大寺の僧侶の家柄だったと推察されています。敷地はもともと興福寺の子院「摩尼珠院」のあった場所とされ、まさに奈良を代表する二つの寺院にゆかりのある邸宅となっています。広大な庭園は、主屋東側の池泉式の庭園と、離れの茶室東側にある苔庭とに分かれています。建物も近代和風を基調としながらも寺院建築の要素を大胆に加味した主屋と、雁行した茅葺き屋根を持つ農家的な茶室からなり、同じ庭園でありながら、全く異なる風情を楽しむことができます。主屋にある唐破風の玄関は、まさに寺院風の設え。手の込んだ海老虹梁や蟇股が目を惹きます。格の高い賓客のための「鶴の間」からは、池泉式の庭園をパノラマのように見渡すことができ、見たこともない大きな床の間が、この建築の格式を主張しています。離れの茶室に足を運ぶと、周囲の雰囲気は一転!庭一面に張られた美しい苔の中に佇む茅葺きの茶室では、数寄屋技術の高さと共に鄙びた風情を堪能できます。至る所に唯一無二の職人技が満載の吉城園の旅を余すことなく伝えます。

取材先情報

吉城園

奈良県奈良市登大路町63番地 TEL:0742-23-5821
開園期間:庭園・3月上旬~12月27日の間 毎日
茶室・1月5日~12月27日の間 毎日(要予約)
開園時間:午前9時から午後5時まで(ただし、入園は午後4時30分まで)

※上記以外の情報については、公開出来ません。