百年名家~築100年の家を訪ねる旅~

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城と共に蘇る旧家の歴史 ~現代に活かす古民家再生 静岡・掛川~

今回の『百年名家』は古民家リフォーム特集第2弾。
静岡県掛川市の旅です。
掛川市は江戸時代には東海道の主要宿場町である掛川宿や日坂宿があり、掛川城を核とした城下町から発達した地方都市です。安土桃山時代には山内一豊、江戸時代には掛川藩、横須賀藩の城下町でした。

八嶋さんと本上さん、まずは掛川城に向かいます。
掛川城は天正18年(1590)に山内一豊が豊臣秀吉の許しを得て築いた天守閣です。
明治以降の廃城令によって廃城処分とされ建物の一部を残して撤去されましたが、平成6年4月に400年ぶりに天守閣を本格的木造で復元することができました。こうして山内一豊創建天守として掛川城天守閣はよみがえりました。

そこで今回のテーマは、古民家再生。古民家の良い部分を残しつつ現代風に住みやすくリフォームしたお宅を訪ねます。

お茶畑の並ぶ道を2人が歩いて行くと、一軒の大きなお宅が見えてきました。
ここは戦国時代の駿河の武将、今川義元の家臣を先祖にもつ清水さんのお宅。その後清水さんのご先祖は武家を捨てて荒れ地だったこの地に居を構え、二代にわたり水を引いて農地に変え、代々庄屋として地域をまとめてきたといいます。この家は明治41年(築104年)に建てられたものです。
八嶋さんと本上さん、案内人の紹介でおじゃまさせていただくことに・・・。
玄関に入り目にしたのは、立派な大黒柱。ケヤキで造られているこの大黒柱は、リフォームをしても位置は変えず、ここを拠点に建て直したそうです。
どこの部屋から見ても眺められる大黒柱の回りをぐるぐると回って楽しむ2人でした。
清水家の一番の特徴は玄関を挟んで左右の部屋の雰囲気がまるで違うこと。世代の違う親と子が暮らしやすい部屋にリフォームされています。古民家の良質な材料を生かしつつ左側部分の親世帯は和風の建具をそのまま生かしたリビングなどがあり、右側部分の子世帯はカントリー調の家具が似合う、機能的で明るい部屋に造られています。

次に2人が向かったのは大正5年に建てられた「平野家」(築96年)。
3世帯同居の「平野家」は先代の思いを大切にしながら、次世代にも愛着を持ってもらえるリフォームを目指しました。そこで古民家ならではの悩みである水回りや耐震・断熱性能を向上させました。見どころは居間。既存の天井を取り払い、ダイナミックな梁組をあらわにしました。天井板も外観の腰板に再利用し、無駄がありません。
また、以前はほとんど物置状態だった屋根裏部屋をお嬢様の部屋にリフォーム。梁をそのまま利用し、美しく仕上げられています。梁の構造を間近で見られ、ちょっとした隠れ家的雰囲気。居心地の良い空間に2人は気に入ったご様子。

今回の旅は古民家に住み続ける家族が更に100年住み続けられる知恵が感じられる旅でした。